ちょうちん作り最盛期 夏彩る伝統の技 栃木の田中提灯店

提灯が並ぶ作業場で筆を入れる田中さん=4日午前10時55分、栃木市藤岡町新波

 祭りや盆のシーズンを控え、栃木市藤岡町新波(にっぱ)の田中提灯(ちょうちん)店で、県伝統工芸品に指定されている「新波の提灯」作りが最盛期を迎えている。

 同店は120年以上の歴史がある。現在は4代目の田中梅雄(たなかうめお)さん(63)と修業中の次女麻梨(まり)さん(27)が注文を受け、絵付けなどを行っている。

 年間を通して制作しているが例年5~8月がピーク。4日は午前4時半から作業を始め、骨組みに貼られた和紙の上に、色鮮やかな顔料で伝統的な「江戸文字」と社寺に伝わる絵模様を丁寧に描いた。防水効果を高めるためにエゴマやアマニの油を塗り、数日天日干しにし、「弓」と呼ばれる持ち手を付けて仕上げる。

 近年は県内各地の祭り向けに、1カ月で20個ほどを制作しているという。田中さんは「常に向上心を忘れずに作業している。手書きならではの絶妙な色合いを感じてほしい」と話していた。

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