【今週の静岡】“橋げた落下”静岡バイパス工事8人死傷 安全管理に問題は?

(宮下記者)

「現場では前日は悪天候により見送られた警察による現場検証が再開されています。事故が起きた詳しい原因などを捜査しているものとみられます」

静岡市清水区の「静清バイパス」で起きた事故。警察は7月9日も安全管理に問題がなかったか業務上過失致死傷の疑いで現場検証を行いました。

(岡﨑カメラマン)

「静岡市清水区静清バイパスの上空です。建設途中の橋げたが落下し下の道路を完全にふさいでいます」

事故は7月6日未明、バイパスを高架化する工事中に起きました。長さ63メートル、重さ140トンの橋げたが落下。作業員2人が死亡し、6人が重軽傷を負いました。関係者によりますと当時、現場にはおよそ20人の作業員がいて、亡くなった2人は橋脚の上で作業をしていた際、橋げたと共に9メートルの高さから落ちたとみられます。現場周辺の住宅街に住む人は当時の揺れに驚いたといいます。

(近所の住民)

「地震よりもすごいガタガタガタガタ。家が壊れるかと思うくらい。雷が落ちたのかと思ったけれどそうじゃなかった。怖いなと思います」

当時、別の区間で作業をしていたという工事関係者からも疑問の声が上がりました。

(別の区間で作業していた工事関係者)

「そのまま落ちた感じですよね。1~3か月前から道路規制をかけて作業手順を決めて時間勝負だから安全管理に怠りはないと思う。通常では考えられない。荷重がかかりすぎた、位置が悪いとかそういう状況ではないと思う」

工事を発注した静岡国道事務所によりますと当時、2つの橋脚の間に橋げたを架ける作業をしていて、事故は橋脚の上で橋げたを移動させる「横取り」と呼ばれる作業中に起きたということです。また、関係者によりますと橋げたを支える「サンドル」という台を外す作業中に橋げたが落下したとみられます。

橋の構造に詳しい静岡理工科大学の冨永知徳教授は「想定外のトラブルが起きたのではないか」と指摘します。

(静岡理工科大学 冨永知徳教授)

「明らかに予定の場所に行く前に落ちている。重いものを動かすときは想定外のこともあるので何か施工関係者の想定外のことが起きてしまったのではないのか」

静清バイパスを高架化する工事は「上り」が2026年春ごろに開通予定でしたが、落下した橋げたを撤去する見通しはたっておらず開通が遅れる可能性もでています。静岡国道事務所は7月11日(火)に大学教授らでつくる事故調査委員会を開く予定です。

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