神戸空襲の恐ろしさ伝える「B29の落とし物」 震災を機に発見、まちの一角でオブジェに

神戸空襲の悲惨さを語る「B29のおとしもの」=神戸市東灘区深江浜町

 「B29の落とし物」が、神戸市東灘区深江浜町の一角にある。神戸の空襲時に市民を襲った焼夷(しょうい)弾の弾頭部のおもりをオブジェにした「物言わぬ歴史の証人」だ。

 鋼材の販売・加工業「小野建」の神戸営業所敷地内にあり、歩道からも見物できる。同社の福田昌弘さん(79)によると、おもりを見つけたのは叔父の故・大内俊一さん。営んでいた鉄鋼材料会社「灘鋼材」の工場が阪神・淡路大震災で倒壊し、撤去された跡地からおもり二つが見つかったという。オブジェは高さ約2メートルの鉄柱に横棒を組み、おもりを鎖でつるした。

 2015年に同社が廃業し、小野建に譲渡された。「叔父から空襲の恐ろしさを聞かされた」と福田さん。落とし物は今日も戦争の傷痕を忘れまいと、静かにたたずんでいる。(安藤真子)

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