五島市民の健康寿命を伸ばそう 塩分抑え、野菜摂取 8提言 長崎県立大、森永乳業など研究報告

市民の健康寿命延伸に向けて専門家が意見を交わしたパネル討論=五島市、福江文化会館

 五島市民の健康寿命延伸を目指し、長崎県立大や森永乳業などが進めてきた横断研究の報告会が9日、五島市池田町の福江文化会館であった。同市内の成人299人の生活習慣の現状や、腸内環境を含めた健康状態の関係性を分析した専門家は、塩分摂取量を最小限に抑え、野菜・穀物を積極的に取り入れるなど八つの提言をまとめた。
 横断研究は、森永乳業、五島市、県立大、県、長崎新聞社による包括連携協定の一環。市民の平均寿命や健康寿命が県内自治体で低迷する同市で、対策に生かそうと実施した。昨年2~3月、299人(男96、女203)が参加。20~74歳で継続的に治療や投薬を受けていない人を対象に血液や便の検査、生活習慣や食事などを調査した。
 県立大教授ら3人が結果を報告。収縮期血圧結果では、高血圧とその予備軍が合わせて6割超だった。一日350グラムが目標とされる野菜摂取量は20~50代で大幅に少なかった。森永乳業の研究員は、食習慣について生魚やかんきつ類の摂取が多い一方、乳製品が少ないと指摘。「(健康を維持するための)腸内細菌の多様性が低い」とし、高タンパク、高脂質を抑えたバランスの良い食事の大切さを説明した。
 パネル討論では、県市の担当者も交え、健康寿命延伸に向けた方策を出し合った。コーディネーターで横断研究責任者の田中一成県立大特任教授が▽塩分摂取は最小限に▽年齢に応じたタンパク質や脂質摂取量の工夫▽野菜・穀物の積極的な摂取▽腸内細菌の多様性に向けたバランスの良い食習慣の確立-など八つの提言項目を発表した。
 武藤慶子同大名誉教授の基調講演もあった。ライブ配信を含め市民ら約200人が参加。同市吉久木町の熊川薫さん(43)は「普段作る料理の味付け一つも気を付けていきたい」と話した。

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