「ヤクルトレディ」届け続けて60年、懐かしの制服復刻 フェリシモアレンジで動きやすく

復刻した60年前の制服(右)と、現在の制服を着用するヤクルトレディの2人=明石市材木町、兵庫ヤクルト販売の「時のまち明石ステーション」

 家庭やオフィスへ、ヤクルトの商品を届ける「ヤクルトレディ」による販売制度が創設から60年を迎えた。節目を記念し、兵庫など12府県を管轄するヤクルト本社中日本支店(大阪市)は、60年前の制服を復刻した。レトロなデザインながら、動きやすさなどは現代向けにアレンジ。顧客から「懐かしい」と喜ばれているという。

 ヤクルトは1935(昭和10)年に発売。当初は男性の営業社員が届けていた。顧客が健康について相談したり、受け取った商品を冷蔵庫にすぐ入れたりするには、「男性よりも、顧客宅の勝手口から声をかけやすい女性の方が向いている」と、63(同38)年、レディによる販売が始まった。

 バイクに乗ったり、台車を押したりして顧客の元へ。現在、レディは国内約3万2千人、海外約5万人おり、国内ではヤクルト乳製品の半数を売り上げる。「いつの時代も、制服姿を見て『ヤクルトさん』と呼んでもらえる」と同支店。

 制服の復刻は、通販大手のフェリシモ(神戸市中央区)に委託した。保管されていた60年前の制服や社史を基に、麻のような色のジャケットと茶色のスラックス、帽子、ロゴ入りバッグを再現。一方で、スラックスを足さばきのよい形にするなどアレンジも加えた。

 兵庫ヤクルト販売(神戸市西区)の明石の宅配店舗を拠点とするレディの渡辺智子さん(37)は「涼しくて着やすい。お客さまからも『当時の雰囲気が出ていて、懐かしい』と好評です」と笑顔を見せる。

 690着を制作。今夏いっぱいごろまで、各販売拠点で一部のレディが着用する。(広岡磨璃)

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