長崎原爆資料館の公募委員、審査書類に誤り 長崎市が事務処理ミス

 長崎市が、長崎原爆資料館の展示更新を議論する運営審議会の公募委員を選ぶ際、過去の審査基準の一部を記した審査表を誤って使っていたことが11日分かった。応募者3人の小論文を選考委員の市職員6人が審査し、1人が落選。市はミスを認めた一方、発覚後に「選考委員が審査要領の(本来の)基準で審査していたと確認しており、結果に影響はない」として再審査しないという。
 審議会委員は有識者ら20人で、任期は6月から2年間。うち2人は4~5月、市広報誌などで公募した。
 小論文のテーマは「次世代に伝わる原爆資料館の展示」で、選考委員が4項目の審査基準で評価。だが選考委員が評価結果の記入用に使った審査基準の一部が、今回の審査要領で定めた内容でなく、2021年の前回公募時の内容だった。市は「ずさんと言われてもおかしくない事務処理ミス。真剣に応募された方に申し訳ない」とした。
 今回落選したのは、前回の公募委員で、在外被爆者を長年支援する平野伸人さん(76)。ミスについて「市民の意見を反映させる公募委員選考への信頼性を損なう」と批判。原爆投下に至る日本の戦争の反省を踏まえた展示の必要性を今回の小論文でも主張。「私を選ぶ、選ばないという問題でなく、世界の人たちの視線に耐えうる、多様な視点で展示を議論する場であってほしい」と語った。

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