神戸市で13日に始まった「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦」(神戸新聞社主催)7番勝負第2局で副立会人を務めるのは村山慈明八段(39)だ。2007年の新人王戦、15年のNHK杯で優勝した実力者で、19年に東京から関西本部へ移籍。本局では、藤井聡太王位(20)が10手目で角道を空けた3四歩に驚いたという。13日午前に展望を聞いた。(井原尚基)
-先月、七段昇段後190勝を挙げて八段に昇段した
昇段は棋士にとって大きな喜び。王位戦の副立会人という非常に大きな仕事の前に昇段でき、タイミング的にもうれしい。
-藤井聡太王位が先勝した第1局をどう見た
第1局は、佐々木大地七段が序盤から工夫を凝らし、佐々木さんが有利な局面が多かった。藤井王位も苦しめられたと話しており、内容的には挑戦者としても悪くない内容だったと思う。
-棋聖戦5番勝負と併せ、同一カードの「12番勝負」となっている
佐々木七段は王位戦リーグと棋聖戦トーナメントでそうそうたるメンバーを破り、いま一番勢いのある棋士と言ってもいい。調子の良さを続け、今まで4局消化してきたが、どちらが勝ってもおかしくないような戦いが続いている。藤井王位としても簡単なシリーズにはならないのではないか。
-始まったばかりの王位戦第2局をどう見る
相掛かりは佐々木七段のエース戦法。互いに工夫が出しやすい将棋だが、早くも前例の少ない局面になり、互いに考えがいのある将棋になっているので、どちらが工夫の一手、面白い一手、研究の一手を出すのか注目して見ている。
-ファンの楽しみ方は
2人とも序盤から意欲的な手や今までにない発想の手がよく出ているので、みんながびっくりするような手が本局でも見られるかもしれない。序盤から注目して見ていただけたらと思うし、中盤、終盤戦も熱戦がかなり期待できると思うので、勝負という意味でも注目して見ていただきたい。
-序盤で注目した手は
後手番の藤井王位が3四歩と角道を開けた手があり、その手自体は珍しい手ではないが、藤井王位が指すのは2局目ぐらい。3四歩を指すと先手の勝率が高い戦型に進むことが多いが、藤井王位はあえてそういった手を指した。今まであまり指していない手だった上、先手番の方が勝率が高い手をあえて選んだので、きっと用意の作戦もあるだろう。藤井王位が今後どういった指しかたをするのかにも注目したい。