隣のATMに高齢女性、手にしたメモ見て「怪しい」と説得 詐欺被害防いだ女性に感謝状「最初の一声に気を使った」

署長感謝状を手渡される西川由希枝さん=宝塚市旭町1

 兵庫県宝塚市内の銀行ATMで偶然隣り合った高齢女性の特殊詐欺被害を防いだとして、宝塚署は同市の会社員、西川由希枝さん(46)に署長感謝状を贈った。操作が分からず困っている女性が持っていた手書きのメモに「怪しい」と感じたといい、警察に通報した上で、女性を説得した。

 4月21日の昼過ぎ、西川さんは同市内の銀行出張所で、隣にいた高齢女性から「(ATMで)間違ったボタンを押してしまった」と声をかけられた。女性は「宝塚市役所」と担当者名、「050」で始まる電話番号、約2万3600円の金額を書いたA4サイズのメモを持っていた。

 西川さんが「どうされたんですか」と尋ねると、「払い過ぎていたみたいで、ここで操作すれば戻ってくると言われた」と女性。実際にその番号にかけてもつながらなかったが、女性は「午後1時にかかってくる」と信じ込んでいたため、西川さんが宝塚署に通報するとともに、110番した。

 女性は駆けつけた警察官に諭され初めて詐欺だと気付いたといい、「電話の相手に、午前中に用があると言ったら『どうしても午後1時までに手続きが必要』と言われ、焦ってしまった。もしかしたら詐欺かも、とは思ったけど、ありそうな金額だったから信じてしまった」と話したという。

 この出張所には2022年度、警備員が配置されたが、23年度からは音声のみの注意喚起となっている。西川さんは「職場の防犯セミナーで特殊詐欺が多いと聞いていたが、まさか…」と驚きつつ、「最初の一声で『違う!』と断られると終わってしまうので気を使った。警備員がいないATMも多く、今後も注意していきたい」と話していた。(広畑千春)

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