県内25市町給食費 本年度、9市町が減額 増額の動きも、最大4倍差

 物価高が長引く中、子育て世帯の経済負担を軽減するため、県内25市町のうち9市町が本年度、小中学校の給食費を減額していることが14日までに、下野新聞社の取材で分かった。うち7市町は2022年度以降、2市町はより以前から減額を行っている。一方で食材費の高騰を理由に値上げに踏み切ったケースもある。それぞれ対応は分かれ、市町間で額を比較すると最大で4倍以上の開きも出ている。

 25市町の教育委員会や給食センターに取材した。給食費を減額している9市町のうち、茂木町は8カ月分、矢板市は3カ月分を無償とすることを決めた。那珂川町は月々の保護者負担額を半額とし、高根沢町は月2500円、那須烏山市と市貝町は月2千円、益子町は月千円を減額している。

 大田原市と芳賀町は物価高が本格化する前から減額しており、大田原は完全無償化を経て現在は給食費の約5割を助成。芳賀は第1子は月千円を補助し、第2子は半額、第3子からは無料としている。

 茂木と矢板、那珂川、高根沢、那須烏山、市貝の6市町は給食費の額を引き上げる一方で、国の臨時交付金を充当するなどして保護者からの徴収額を一時的に軽減している。日光市と真岡市は額を引き上げた上で、市が値上げ分を負担し保護者負担を据え置いている。

 給食費を値上げしたのは下野市で、月200円の負担増となった。小中学校ごとに給食費を決める宇都宮市や、県立の特別支援学校・定時制高校でも、一部で値上げの動きが出ている。

 本年度、小学生の1年間で保護者負担額が最も低いのは茂木の1万2300円。最も高い上三川町は5万3900円で、約4.4倍の差が生じている。

 物価高を受け、給食費を据え置く市町も食材調達の予算を増額するなどの対応に追われている。「国の補助がなければ値上げは不可避」「現在の給食費のままでは献立を維持するのは難しい」との声も出ており、今後値上げに踏み切る市町が増える可能性もある。

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