「観光やショッピングのイメージ少ない」韓国からの旅行先に広島を選ぶ人は少なく 広島-ソウル線 復活 観光客増へ高まる期待

4年ぶりに行動制限のない夏の旅行シーズンを迎えます。そんな中で13日、3年7か月ぶりに復活した広島-ソウル便。今回の就航に、広島でも期待の声が上がっています。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「待ち遠しいです」

HIS広島本店 加藤雅貴 所長
「地域の活性化にもつながると思います」

一方、韓国の人たちから広島は旅行先になかなか選ばれていません。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「観光だったり何かショッピングだったりっていうイメージがないと思います」

アジア圏からの観光客が少ないといわれる広島…。航空便の復活で、韓国からの注目度は上がるのでしょうか?

韓国人乗客
「宮島のシカちゃんに会いたくてドキドキしてます」

3年7か月ぶりとなる定期便で、韓国から広島に到着した乗客は142人。就航を記念して開かれたセレモニーでは、広島県や三原市、韓国総領事などの関係者が出席し、広島とソウルの架け橋復活を祝いました。

韓国観光公社 福岡支社 ホン・ソンギ 支社長
「一番近い海外というのが非常に魅力的じゃないかと思います。日本とはひと味違う活気のあふれる街なので、日常とは違う、海外で味わう魅力があるんじゃないかと思います。地方都市にも魅力的な観光素材がたくさんできているので、ソウルだけじゃなくて地方にも足を運んでいただきたいなと思います」

コロナ禍前、日本人の海外旅行先の国別ランキングでは、毎年、韓国はトップ3入り…。日本人の旅行先として人気です。

観光やショッピングのイメージが少ない 韓国からの旅行先に広島は19位

韓国は、日本人の海外旅行先の国別ランキングでは毎年、トップ3入りしています。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「前はコスメがめちゃめちゃはやっていたけど、こういうお店ができているってことは食品も今、とっても注目を浴びているので」

広島市南区にある韓国食材店でアルバイトをしているキム・ミソさんです。両親の仕事で日本に来て以来、20年以上、広島に住んでいます。

韓国のアイテムを3000点以上取り扱うYESMART。広島でトップクラスの品ぞろえを誇ります。韓国で人気のインスタント麺を、本場韓国から取り寄せた機械を使ってその場で袋から取り出して調理をすることができます。

唯一の韓国人店員であるキムさんは、広島の人にこうした韓国のグッズを紹介するのはもちろん、広島を訪れる韓国人にも魅力を伝えています。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「広島のどこに行ったら楽しいですかとか、どういうお店が広島で有名ですかとかよく聞かれます。やっぱり広島といえばお好み焼きなので、お好み焼きを食べてくださいと言ったり」

一方で、韓国からの旅行先に広島を選ぶ人は少ないと感じるようです。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「広島というイメージがG7のあったとおり平和都市というイメージが大きくて、観光だったり何かショッピングだったりっていうイメージがないと思います」

2019年の海外からの観光客の割合は、全国的にはアジア圏の観光客が7割となっていますが、広島は欧米やオーストラリアからの観光客が半数近くを占め、アジア圏は3割にとどまります。また、韓国からの都道府県別訪問率ランキングでは1位の大阪、2位の福岡に大きく差がつき広島は19位。全体の1パーセントにも達していません。

しかし、韓国観光公社は5月に開かれたG7サミットで広島の注目度の高まりを感じているようです。

サミットで注目度が高まり「ソウル線の就航」で後押しになるか 旅行業界も期待

韓国観光公社 福岡支社長 ホン・ソンギ 支社長
「最近、知り合いから連絡がありまして、ちょっと広島行きたいんだけど、どうしたらいいと質問が来てですね。やっぱりそれは尹錫悦大統領が訪問してからの動きがあると思うので」

サミットに向けて広島県観光連盟は、観光施設に表示する多言語案内などに補助金を出すなど、海外からの観光客を受け入れる態勢を整えてきました。

「広島を旅行先に選ぶ韓国人は少ない」と話すキム・ミソさん。外国人観光客に優しい街づくりが不可欠だと言います。

YESMART広島段原店 キム・ミソ さん
「福岡はバスとか地下鉄とかいろんなところにやっぱり英語とか韓国語の表記、トイレにもすべて韓国語の表記がめちゃくちゃ多いので…。(広島の)観光地のところには不便がないようになっているんですけど、やっぱり観光地だけじゃないじゃないですか。どこの国に行っても都市に行ってもおいしいもの食べたいし、繁華街のいろんなところに表記があれば、もっとそういう方も増えるんじゃないかな」

韓国からの集客に「ソウル線の就航」が後押しになれば…と、旅行業界の期待も高まっています。

HIS広島本店 加藤雅貴 所長
「韓国の方が広島に来られる機会が増えると思いますので、小売りであったり、広島のことをもっと知っていただけるようになると思いますし、地域の活性化にもつながると思います」

今回、就航したソウルと広島を結ぶ便は、火・木・土の週3往復で毎日の運航はなく、ソウルを出発するには早朝からの移動が必要になります。HISによりますと、こういった利便性の面から韓国と広島の行き来がスムーズになるには課題が残り、増便に期待したいということです。

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