2千個の灯籠で照らす「八郎川慰霊の灯」 長崎大水害の教訓を後世に

慰霊碑の前で灯籠を見る高校生=長崎市、長崎大水害慰霊碑広場

 1982年の長崎大水害(死者・行方不明者299人)で氾濫した長崎市東部の八郎川そばで16日、追悼行事「八郎川慰霊の灯(ともしび)」があり、地域の子どもたちが作った灯籠2千個の明かりが幻想的に辺りを照らした。
 計89人の犠牲者が出た東長崎、日見両地区。教訓を後世につなぎ、未来への希望をともそうとプロジェクトを立ち上げた2019年以降、実行委が毎年開き5回目。地区内の6小学校と市立東長崎中でメンバーが講義をし、子どもたちの防災意識を醸成している。
 灯籠作りには地区内の幼稚園、保育園と小中学校が関わり、同水害慰霊碑広場(矢上町)と長龍寺公園(東町)に分けて設置。多くの家族連れが両会場を訪れ、灯籠に書かれた「命を守ろう」「あの日を忘れない」とのメッセージやイラストに見入ったり、子どもの作品を探したりして時を過ごした。同市戸石町の向井敬子さん(43)は「命は一つしかない。重みを感じ取ってもらう良い機会になると思う」と話した。
 木村武夫実行委員長は「たくさん人が集まるイベントになり、防災教育でも継続してきた手応えを感じ始めている。地域の方を巻き込み、もっと広がりを持てたら」と展望を語った。

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