夏は車内放置、厳禁 県内関係機関、温度上昇に注意訴え

特に高温になるダッシュボード。スプレー缶やスマートフォン、モバイルバッテリーなどは長時間の放置で発火などの危険性が高まる=山形市

 夏の行楽シーズンを迎え家族を乗せ車で出かける機会が増えるこの時季、危険なのが車内温度の上昇だ。真夏日には、1時間でダッシュボード表面の温度が75度を超え、車内は50度近くまで上昇することも。子どもやお年寄り、ペットを車内に残せば命を危機にさらすことになる。また、スプレー缶やモバイルバッテリーなどの放置が危ない。発火の恐れがあり、関係機関は注意を呼びかけている。

 最高気温30度超の真夏日となった今月6日の山形市内。日本自動車連盟(JAF)山形支部は炎天下で、エンジンを止めた車内の温度変化を調べる実験を行った。最も気温が高くなるとされる午後2時ごろに開始。1時間で車内温度は34度から46度まで上昇した。直射日光が当たるダッシュボードの表面は76度に達した。温度変化を見るために置いた板チョコは溶けて、クレヨンは変形した。スマートフォンは画面に「高温注意」と表示され、一時使えなくなった。

 この時季、空調を使わずに長時間駐車すれば、車内は“サウナ状態”となる。製品評価技術基盤機構(NITE)は、この時季に使う制汗や虫よけなどのスプレー缶や、遠出の際に役立つリチウムイオン電池を使ったモバイルバッテリーについて、「車内に放置するのは危険」と指摘する。

 スプレー缶は高温下だと圧力が高まり、ガス漏れや破裂する危険がある。リチウムイオン電池は、高温になると発熱や発火の恐れがある。NITEによると、兵庫県で昨年10月、快晴で気温30度の中、モバイルバッテリーを車内でスマホの充電に使用後、発火したケースがあったという。

 花火や墓参りで使う機会もあるライターや、炭酸飲料も高温下に置いておくと破裂する危険性がある。JAF山形支部やNITEの担当者は、窓を多少開けたり、日よけを使ったりしただけでは、内部の温度上昇を防ぐのは難しいと指摘する。重要なのは「炎天下で車内に子どもなどを残さないことと、高温で危険が生じる物を放置しないことだ」と強調している。

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