深浦・大雨被害 観光に影響「不安」/各施設 予約キャンセルも

黄金崎川からあふれた水で大きく損壊した「不老ふ死温泉」脇の町道=16日午前、深浦町舮作
大間越地区の配水池にピストン輸送で届ける水を消火栓から取水する作業員=16日午前9時14分、深浦町松神上浜松

 津軽地方を襲った大雨から一夜明けた16日、青森県深浦町では被害箇所の復旧が進められた。土砂崩れで通行止めになっていた大間越地区の国道101号は同日午前10時に仮復旧。昨年8月の豪雨に比べると同日時点では被害は少なく、「ほっとした」との声も聞かれた。ただ、舮作地区の宿泊施設「不老ふ死温泉」では設備への浸水により、名物の露天風呂が利用停止を余儀なくされるなどの被害が発生。関係者は「夏の観光シーズンを前に本当に残念」と肩を落とした。

 同町の観光名所・十二湖では、人気スポット・青池に通じる町道の「落口の池」付近で約50メートルにわたり土砂が流入し通行止めとなったが、16日朝に復旧した。町観光課の鈴木マグロー課長補佐は「昨年に比べれば被害が少なく、ほっとしている」と話した。

 町の第三セクターが運営する最寄りの宿泊施設「アオーネ白神十二湖」は15、16日とフル稼働を予定していたが、国道101号の通行止めやJR五能線の運休もあり、7割方の予約がキャンセルに。

 昨年8月の豪雨では、青池につながる道路が長期間通行止めとなり、五能線の不通も重なって大きく利用が落ち込んでいただけに、斉藤智晴支配人は「今回はこのぐらいで済んで良かったが、何回も何回も…。勘弁してほしい。五能線の被災状況も心配」と語った。

 舮作地区では15日、不老ふ死温泉脇の黄金崎川の水があふれ、同温泉の本館と新館の間を走る町道に流れ込んだ。激しい水流で道路は数十メートルにわたり、アスファルトが剥がれたり、めくれ上がったりし、無残な姿に。町道は昨年8月の豪雨でも濁流により大きな被害を受け、同12月に補修が終わったばかりだった。

 「15日の午前中、あっという間にすごい量の水になり、道路にあふれ出した」と同温泉の佐藤晃三総支配人。町道は本館駐車場への進入路ともなっているが、今回の被害で再び使えなくなった。本館電気室の浸水で停電も発生。温泉をくみ上げられず海辺の露天風呂と本館黄金の湯の利用を停止した。復旧には数日かかるという。日帰り入浴は新館で受け付けている。

 大雨の影響で宿泊のキャンセルも相次いだ。佐藤総支配人は「まさか2年連続で大雨の被害に遭うとは思わなかった。この先も少し不安なところがある」と話した。

 一方、15日から大間越地区コミュニティセンターに避難していた秋田県境近くの板貝地区の2家族5人は16日午前、ようやく帰宅の途に就いた。中村利男さん(69)は「避難生活は大変なものだ。昨夜は眠れなかったが、一安心した」と語った。

 また、導水管破損による大間越、黒崎両地区の断水を防ぐため、町職員が岩崎地区の消火栓から給水車に浄水をくみ、配水池にピストン輸送する懸命の作業は16日も続いた。

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