不妊治療、希望者全員が受診可能に 2024年度内、福井県知事が見通し 福井大のセンター開設受け

福井大医学部附属病院に開設した高度生殖医療センター=福井県永平寺町

 福井県議会は7月12日、予算決算特別委員会を開き、清水智信委員(自民党福井県議会)ら9人が質問した。不妊治療支援に関して杉本達治知事は、福井大医学部附属病院(永平寺町)に2022年、高度生殖医療センターが開設されたことで、県内の通院患者の約9割が県内で治療を受けられる体制が整ったと説明。2024年度内には治療希望者全員が受診できるとの見通しを示した。清水委員への答弁。

 県内に高度な不妊治療の実施機関は同病院を含め4施設しかない。県によると県内では約千人が不妊症で通院し、18年度の推計ではそのうち約4割が県外で治療を受けていた。長期間にわたって遠方に通院する場合、仕事との両立は難しく、退職するケースもみられたという。

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 センターは産婦人科医3人、泌尿器科医1人、胚培養士2人らの計9人体制で昨年5月に開所。福井大病院の22年度の不妊治療患者は前年度に比べ約300人増えたという。24年度をめどに産婦人科医1人、胚培養士1人を増員する計画で、県内の通院患者約千人すべてを受け入れることが可能となるとした。

 また、体外受精や顕微授精など「特定不妊治療」について、県が助成制度を拡充し自己負担額を最大6万円としたことに伴い、22年度の不妊治療件数が前年度比1.4倍に拡大したと説明。杉本知事は「手厚い助成制度があるから県外から福井に赴任してきたという方もおり、効果は確実に上がっている。引き続き、子どもを欲しいと思う方が安心して治療を受けられるようにしていきたい」と述べた。

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