障害者の合奏団「どれみふぁクラブ」 宇都宮で10周年コンサート コロナ禍で3年延期

演奏を披露するメンバー

 【宇都宮】障害者による合奏団「どれみふぁクラブ」が17日、下荒針町の宇都宮短期大須賀友正記念ホールで10周年記念コンサートを開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期が続き、3年遅れの結成13年での開催となった。メンバーと活動を支援する保護者らは念願がかなって喜ぶとともに、活動の継続に向け決意を新たにした。

 合奏団の結成は2010年6月。宇都宮大付属特別支援学校で放課後の音楽活動に参加していた同校卒業生5人でスタートした。現在は、主に市内から知的などの障害のある17人が参加。小池由美子(こいけゆみこ)代表(67)は活動について「職場と家の往復だけでなく、人とのつながりを持つ貴重な機会」と話す。

 「無理なく楽しく。でも練習は休まない」をモットーに毎週練習し、成果披露として年1回、発表会を開いてきた。しかし、新型コロナ禍の影響で20年からの約3年は練習場所の確保も難しく、活動休止状態になった。小池代表は「みんな家にこもりがちで苦しい時期が続いた」と振り返る。

 新型コロナ禍が落ち着きを見せ始めた今年3月ごろから本格的に練習を再開。さらに、活動支援者の紹介で会場が確保でき、念願のコンサート開催にこぎ着けた。

 この日、メンバーらは保護者とステージに登場し、キーボードとハンドベル、打楽器で演奏。ハンドベルの各音程に色を振り分け、色紙を並べて鳴らす順番を示すなどした手作りの楽譜がステージ中央に置かれ、メンバーは楽譜を見ながら「アメージング・グレース」や「負けないで」を美しい音色で披露した。

 また、ジャズ系バンド「free swing」や市内の手品グループ「ハッピースマイル」も登場し盛り上げた。会場は観客の温かい拍手で包まれた。

 ハンドベルとタンバリンを担当した青山結(あおやまゆい)さん(35)は「練習はいつも楽しい。今日も楽しく演奏できた」と充実した表情。小池代表は「ここまで来たのは保護者の協力あってこそ。今日を次へのスタートとして、これからも続けたい」と力を込めていた。

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