回復無理でも… 「日本一太い」キタコブシ、遺伝子つなげ 青森・三戸町

落雷で焼けたキタコブシの状態を確認する高渕会長(中央奥)と釜渕顧問

 市民団体「東北巨木調査研究会」(青森県八戸市、高渕英夫会長)のメンバーが17日、三戸町斗内の民家敷地にある神社のご神木で、落雷で焼けたキタコブシの状態を確認するため現地を訪れた。同会は、樹勢の回復の可能性が極めて低い一方、完全に枯れていないことを踏まえ、太さ日本一のこのキタコブシの遺伝子を将来につなぐため、手を尽くす方向性を確認。所有者も同意し、来春まで様子を見る考えを示した。

 ご神木は同町斗内の畜産業・農業野中耕進さん(71)方敷地内にある。現地を訪れたのは高渕会長と釜渕一知顧問(県樹木医会理事長)ら。ご神木は11日、空洞になっている木の真ん中付近から出火し、幹周の半分ほどを焼いた。

 釜渕顧問は「回復は不可能だと思うが、生きている枝を接ぎ木によって増やし、遺伝子を残すことが可能」、高渕会長は「これほど弱っているとは。日本一の太さであることに着目し、遺伝子を残してもらえれば」などと話した。野中さんは、キタコブシの隣の天神様をまつった「天神舎」に木が倒れる可能性があるため、天神舎を別の場所に移す意向を示し、木について「来春までこのまま様子を見たい」とした。

 環境省は巨木の測定方法を基本的に地上130センチの幹回りの大きさで統一している。このキタコブシは2014年の測定で幹回り3メートル78センチとなり、全国のキタコブシで「日本一」の太さと確認された。推定樹齢は約160年。

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