地域に活気を!伊豆山の鮮魚店再開「戻ってくる人たちのためにも」土石流災害から2年(静岡県熱海市)

熱海市伊豆山の老舗鮮魚店が先週、リニューアルオープンしました。土石流災害から2年。復興を目指す伊豆山に活気を取り戻そうと奮闘する店の様子を取材しました。

熱海市伊豆山で63年間、地域の鮮魚店を営んできた「魚久」。リニューアルオープンのこの日、午前10時の開店とともに、たくさんの人が訪れました。家族で切り盛りしているこの店を仕切るのは、3代目の高橋一平さんです。

(魚久 三代目 高橋一平さん)

「久しぶりに見る方も来てくれてうれしい」

伊豆山を襲ったあの土石流災害から2年。店に直接的な被害はなかったものの、生活道路は寸断され、1か月ほど休業を余儀なくされました。その後、営業を再開。しかし、近隣は「計画区域」に指定され、訪れる人は少なくなったといいます。

(魚久 高橋一平さん)

「廃業までは考えていなかったが、状況が状況だったので、商売をするよりは地域のためにやれることを日々やっていた」

こうした中、伊豆山の「警戒区域」は2023年9月1日に解除される見通しに。

高橋さんは、離れ離れになった地元の人達が帰って来た時に、これまで以上に地元の役に立ちたいと、リニューアルを決意しました。店には鮮魚のほかにも野菜や食料品、お菓子など約60品目を増やしました。

(魚久 高橋一平さん)

「出ていった方ももちろんいるし、残った方もいる」「故郷に帰ってきた時に、家族団らんの楽しみのひとつになれるようなお店を目指していきたいと思う」

店ではリニューアルを記念して3000円以上買い物をした人に、アジの干物をプレゼント。訪れた人たちにも自然と笑顔がこぼれます。

「待ってました」「ありがとうございます」

(買い物客)

「うれしいですよ、おめでたい事、土石流ですごくつらい思いされたから」

「うれしかった、よかったと思う、いつまでもよろしくお願いします」

(魚久 高橋一平さん)

「まだ帰ってこられない方もいっぱいいる、言葉にはしづらいが、このリニューアルオープンが伊豆山を盛り上げる一つの要因になればと思う」

再び店に灯をともした高橋さん家族は、地域とともに歩む鮮魚店を目指します。

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