開館1年で来館102万人 石川県立図書館、旧館の4倍

開館1年で来館者数102万人を記録した県立図書館=金沢市小立野2丁目

  ●22年度・全国首位ならず 「会話OK」を評価

 16日で開館1年を迎えた県立図書館(金沢市小立野2丁目)の来館者数が通年で102万3300人となり、コロナ前の旧県立図書館(同本多町3丁目)の4倍に増えたことが県のまとめで分かった。年間目標を達成した一方、年度でみると22年度は開館前の4~6月がゼロだったことが響き、全国の都道府県立図書館の首位には届かなかった。貸出冊数は来館者数に比べて少なく、会話OKな点などが親子連れらに評価され、本を借りる以外の利用が多い特徴が際立った。

 県立図書館は円形劇場を模した内観や図書の配置方法が特徴的で、図書館としては珍しい交流エリアやキッズスペースを備える。SNS(交流サイト)などでは写真映えするスポットとしても人気で、建物撮影を目当てに訪れる人も多い。

 注目度は高く、6月末時点で全国の自治体や議会などの視察は94件(うち県外66件)。取材は海外メディア含め118件を数えた。

  ●岡山と1万8000人差

 各都道府県立図書館は年度単位で来館者数を発表しており、石川の22年度は78万1318人だった。日本図書館協会(東京)の22年度集計が出ていないため、順位は現時点で不明だが、全国では20年度(76万1144人)、21年度(70万6013人)と2年連続でトップだった岡山県立図書館が22年度も79万9769人を集め、石川は1万8千人余り及ばなかった。

 岡山県立図書館は岡山城を望む好立地にあり、05年度から14年連続で来館者数と個人貸出冊数が全国1位という人気施設。コロナ前の来館者はほぼ毎年100万人を超えていた。

 石川と岡山両県立図書館の違いが表れたのは貸出冊数だった。石川は22年度が45万9186冊で、開館からの1年間でみても62万9205冊と岡山の22年度(122万8769冊)の約半分にとどまった。石川は19年度に11万5216冊だった旧図書館より増えたとはいえ、上位県より貸し出しが少ない状況にある。

 これについて県は、100種以上の椅子を館内に置いてその場で読書を楽しめるようにしたり、施設の目新しさや多彩なイベントで多くの来館者を集めていると説明。担当者は「本を借りるだけでなく、幅広い利用が広がった結果だろう」と前向きに受け止めた。

  ●調べもの相談強化

 円形施設のため、一部からは「読みたい本を探すのが大変」との声もあり、今後は来館者の調べもの相談に司書が応じる機能を強化するなど、貸し出し支援をさらに充実させる方針だ。

 ★石川県立図書館 地上4階、地下1階で、延べ床面積は2万2千平方メートル。自由に閲覧できる開架図書は旧図書館の約3倍となる30万冊で、書庫の収蔵能力は200万冊。愛称は「百万石ビブリオバウム」。

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