高校野球 大分商業に「扇の要」が復活 春夏の甲子園連続出場に向けて死角なし 【大分県】

第105回全国高校野球選手権大分大会

7月15日 別大興産スタジアム

2回戦

大分商業 104 102 0|8

杵 築 000 010 0|1(7回コールド)

頼もしい男が帰ってきた。第1シードの大分商業が初戦を7回コールドで勝利し、3回戦に駒を進めた。チームを縁の下で支えたのが、捕手の二宮力丸(3年)だ。継投した4人の投手の長所を引き出し、打っては4打数2安打1打点で勝利に貢献した。那賀誠監督は「期待している選手の一人。二宮が打てばチームに流れを呼び込むし、ピッチャーも気持ちよく投げることができる」とチームの調子を測る「バロメーター」としている。

二宮は初戦を迎える3週間前に急性虫垂炎で手術入院し、10日前から練習に合流した。薬で応急処置する手段もあったが、監督の「甲子園まで、まだ先は長い。手術をして完治してこい」との一言で、甲子園を見据えてチームから離脱することを決めた。焦りはあったが、同病室の患者から「焦らなくても大丈夫だ、お前なら活躍できる」と励ましの言葉をもらい、勇気づけられた。

打撃は上向きの二宮力丸

春のセンバツ甲子園では、フットワークの良い強肩捕手として盗塁阻止率の高さを誇った。この冬にスクワットやステップワークで下半身を鍛え、スローイングを素早く行う技術を磨いた。下半身の強化はバッティングにも好影響を与え、体のキレが増し、打球のスピードが上がった。手術前の練習試合ではクリーンアップを任せられるまでになった。

今大会は7番・捕手としてスタートしたが、今後の活躍次第で打線の中軸になることも考えられる。投球の組み立てに関しては、「(投手には)要求せず、気持ちよく投げさせることを考えている」とピッチャー優先を心掛けつつも、調子が上がらないときには「何が悪かったが分かるか?」と対話し、解決に導く。

甲子園の春夏連続出場に向けて快勝スタートを切ったが、「ピッチャーも打線も調子は上がるし、僕個人としてもまだまだこんなものじゃない」と言い切る。野球には「優勝チームに名捕手あり」との格言めいたものがあるが、二宮が「扇の要」としてチームを勝利に導く。

一戦必勝で甲子園を目指す

(柚野真也)

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