「弘前は想像力湧く場所」菊地凛子さんが再訪 主演映画「658km、陽子の旅」ロケ地

岩木山をバックに報道陣の取材に答える菊地凛子さん=弘前市りんご公園

 6月の第25回上海国際映画祭で最優秀映画賞など3冠に輝いた映画「658km、陽子の旅」に主演した俳優の菊地凛子さんが18日、ラストシーン撮影地となった青森県弘前市を訪ね、東奥日報などの取材に応じた。菊地さんは「願い通りに降ってきた雪など、重要な場面でさまざまな幸運に支えられ、この土地には迎えられている感じがする。役作りの上でも弘前はさまざまな想像力が湧いてくる場所」と語った。

 28日から弘前市などで公開される映画は、東京で孤立した生活を送る陽子が父の訃報を受け、ヒッチハイクで故郷の弘前市を目指す物語。旅で変わっていく陽子を繊細に演じた菊地さんは、同映画祭で最優秀女優賞を受けた。

 17日から作中と同様に東北を縦断し舞台あいさつなどを行った菊地さんは、18日、弘前市りんご公園で取材会を開催。2021年12月に市内数カ所で撮影したラストシーンを振り返り「厳しい風雪の中の撮影だったが、美しい岩木山など景色や空気を実感することで役の人物像が立体的になった。弘前という土地からはさまざまな想像力をもらった」と語った。撮影時の幸運に加え、この日も取材直前に雨が上がり「あらためて、この土地に迎えられているような、温かい気持ち」と笑顔を見せた。

 作中の津軽弁のせりふは県内のスタッフが録音した音声で練習を重ねたといい「特に『ありがとうございました』のニュアンスに苦労し、難しかったが、津軽弁はとてもチャーミングで温かい言葉。陽子の根底にある温かみを表現する重要な部分なので頑張った」とこだわりを明かした。今秋のNHK朝ドラで青森市出身の歌手淡谷のり子をモデルとした役を演じる菊地さんは「映画に続き、青森の土地、言葉にはとても縁が深いと感じる」と話した。

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