月100時間超の残業が続き適応障害に 人気ラーメン店「もっこす」従業員の男性、神戸地裁に提訴

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 月100時間超の残業が続くなど、長時間勤務が原因で適応障害を発症したとして、神戸市を中心に店舗展開するラーメン店「神戸の中華そば もっこす」の従業員男性(29)が20日、運営会社「もっこすフーズ」に約2100万円の損害賠償などを求め、神戸地裁に提訴したことが分かった。男性側は「長時間労働の改善を申し出たが、業務軽減はなかった」と訴えている。

 訴状によると、男性はアルバイト雇用され、2019年に正社員に。20年7月に店長へ昇格した。21年11月に頭痛などが現れ、22年1月にうつ状態の診断を受けた。同年2月から休職。神戸東労働基準監督署は同年、男性について適応障害での労災を認定している。

 男性側によると、男性が店長を務めた店舗は人員不足が常態化し、人件費抑制の指示から、閉店後に男性1人で片付けなどをすることが増加。20年10~12月、21年11月、12月は時間外労働時間が月100時間を超え、診断を受ける直前の22年1月は同時間が約175時間に上るという。

 男性は21年6月以降、社長に対して長時間労働の改善を求め、睡眠時間がないことなどの不満を伝えたという。訴状では、遅くとも21年8月には疲労や心理的負担の過度な蓄積に注意する義務があったと主張。対応しなかった会社の過失を訴える。

 男性は神戸新聞社の取材に「店舗から家まで徒歩10分弱だが、次の仕事開始まで3、4時間ほどしかなく、店の駐車場に止めた車で寝てから仕事に向かうことも多かった」と説明。「会社は変わらなければいけないと役員に訴え続けたが、何一つ変わらず、改善どころか人件費削減を求められた。お店が一番大切にしないといけないのはお客さま。会社として一番大切にしないといけないのは従業員のはず」と話した。

 もっこすフーズは神戸新聞社の取材に対し、20日現在で返答の連絡はない。

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