ガソリン高騰、悩める車移動 県内観光地では嘆きも

行楽客でにぎわう鶴岡市加茂地区(渚の交番カモンマーレ屋上から)=22日午前

 梅雨が明け、夏の行楽期に入った。新型コロナウイルスの「5類」移行と行動制限の緩和で、旅行意欲が高まりをみせる中、ガソリン価格の高騰がじわりと影を落とす。政府が価格抑制のための補助を段階的に縮小し、本県の直近のレギュラーガソリン価格は2週ぶりに上昇した。週末に県内の観光地で声を拾うと「隣県や県内の旅行にとどめようか」などと嘆き節も聞こえてきた。

 政府の補助は石油元売り会社に支給し、卸価格を抑制してガソリンスタンドでの小売価格に反映させる仕組み。補助の段階的縮小などで、経済産業省が今月20日に発表した18日時点のレギュラーガソリンは1リットル当たりの全国平均小売価格が174円で、前週調査から70銭上昇。本県は70銭高い180円90銭で2週ぶりの値上がりとなった。

 ガソリン価格の高騰で、夏休みに車での遠出を控えようとする向きが出ている。寒河江市の道の駅寒河江チェリーランドを訪れていた天童市田鶴町2丁目、会社員犬飼恭平さん(28)は出費を懸念し「特に夏は、車で関東方面にも足を運んでいたが、残念ながら今年は隣県や県内にとどめようかと思う」と悩む。車のメーターを燃費表示に設定し、ガソリンを消費しないように努めているという。

 県内有数の観光地・山形市山寺に来ていた河北町谷地、小学校教諭和田紘政さん(22)は燃料高騰が行動範囲に影響しているとし「旅行先は、県外よりも身近な観光地を選びやすくなっている」と話す。

 嘆きも聞かれる。米沢市の松岬神社周辺で小学1年の息子と散歩をしていた米沢市城南1丁目、会社員斎藤慶一さん(50)は、車を使わず、徒歩圏内に出かけることが多いという。福島県内に車で通勤するため、燃料代節約にとハイブリッド車を購入したが「これ以上の高騰は苦しい。どこまで値上がりするのだろう」と不安げな様子だった。

 鶴岡市の加茂レインボービーチを訪れていた鮭川村庭月、会社員堀米優衣(まい)さん(39)はなるべく車を使わないよう、買い物でインターネット通販を活用している。「子どものサッカーの試合など必要な遠出はするが、レジャー関係は家でキャンプをしたり、近くの川で遊んだりと、なるべく近場で楽しみたい」と、燃料代節約の楽しみ方を口にした。

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