介護職の魅力、当事者が発信 県が「アンバサダー」養成

当事者として介護職の魅力を発信するアンバサダーの養成研修会=山形市・県村山総合支庁

 県は本年度、新たに、当事者として介護職の魅力を発信する「KAiGO PRiDE(カイゴプライド)アンバサダー」の養成に取り組む。中高生らに仕事のやりがいなどを伝える役割の人材を育成し、現役の介護職員が誇りを再認識することで、人材確保や離職防止につなげる。

 県の推計では、介護職員の不足数は2020年が766人だが、高齢化が進む25年は4倍以上の3270人に増える見込み。KAiGO PRiDEは介護職の内面的な「かっこよさ」などに焦点を当て、魅力をアピールする活動。19年の熊本県を皮切りに全国的な広がりを見せており、本県でも22年度から県の事業として展開している。

 アンバサダーは現役の介護職員や経験者が対象で、研修を受けて認定される。学校や介護施設、各種イベントなどの講演依頼が県に寄せられた際、講師として仕事の魅力や経験などを自身の言葉で伝える。アンバサダーの養成に取り組むのは、本県が全国で初めて。

 山形市の県村山総合支庁で24日に養成研修会が開かれ、内陸地域の男女11人が参加した。講師を務めた一般社団法人KAiGO PRiDE(東京)の常任理事・小口貴幸さん(37)は、高齢化が進む中で介護職の能力や技術が一層求められるとの見通しを示した。

 研修を受けた介護老人保健施設メルヘン(山辺町)の介護福祉士・高内翔太郎さん(26)は、入所者の変化にいち早く気付き、脳梗塞の早期発見につながった経験がある。「介護の仕事に誇りを持つ意識が、介護職員自身に浸透していない面がある。研修の内容を施設でも共有し、前向きな部分をこれからの世代に伝えていきたい」と話した。

 庄内地域が対象の研修会は、28日に鶴岡市勤労者会館で開かれる。

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