茨城県の輸出額過去最高256億2300万円 22年度 工業製品が好調

■3年後の目標突破

茨城県の農水産物や加工食品、工業製品などを合わせた2022年度の輸出額が前年度38%増の256億2300万円で過去最高だったことが24日、県のまとめで分かった。県総合計画に定めた25年度目標値の198億円を上回った。工業製品の輸出額が9割増となるなど、新型コロナウイルス感染拡大により停滞していた経済活動の再開が反映した。

調査は県の事業を通して関わった事業者などへの聞き取りを基にまとめた。水産物の調査は年度ではなく、暦年で集計している。

工業製品の輸出は前年度から88%増の169億3800万円。コロナ後の経済活動再開や円安が進んだことで大きく伸びた。世界的な半導体不足に伴う生産強化を背景に、中国向けの半導体洗浄装置が好調だったほか、電気自動車の需要拡大でアジア向け電装部品の輸出額も膨らんだ。

県によると、工業製品の輸出に関して回答のあった県内中小企業127社のうち、輸出先で最も多かったのは中国などアジアが76%だった。次いで北米44%、欧州32%と続いた。

加工食品は3%増えて16億7900万円だった。県による輸出支援なども奏功し、台湾、香港、シンガポールなどへの地酒輸出が6%増の5億9900万円に膨らむなど拡大を支えた。このほか、アジア向けにカップ麺や菓子類なども堅調に推移した。

青果物やコメ、畜産物を合わせた農産物は35%増の13億1600万円。東南アジアの旺盛な焼き芋需要を背景にサツマイモが好調で、青果物は18%増の5億600万円。茨城県ブランド牛「常陸牛」や鶏卵の需要増がけん引し、畜産物は2.3倍増の4億2100万円、コメは8%増の3億8900万円。

一方、水産物はサバの漁獲量減少が響き、7%減の56億9千万円だった。

県政運営の基本方針となる第2次県総合計画(22~25年度)では、農水産物や工業製品などの輸出額の目標値を25年度に198億円と設定。20年度実績の103億円から、ほぼ倍増する目標を掲げている。

県グローバルビジネス支援チームは「工業製品の輸出額だけで県総合計画の目標値に迫る勢いで増えた。世界的な経済活動の回復を背景に、中小の事業者も世界に視野を広げられるような支援をしていきたい」とした。

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