本県の小中生5人、飛躍めざし切磋琢磨 日本将棋連盟「東北研修会」に参加

阿部健治郎七段(左)らプロの指導を受け、小中高生が棋力向上に励む日本将棋連盟の東北研修会=仙台市

 日本将棋連盟は少年少女を対象に、仙台市内で錬成の場となる東北研修会を開いている。プロなどを目指す約20人の中に、本県から小中学生5人が参加している。月2回、東北トップレベルのジュニア層と切磋琢磨(せっさたくま)し、酒田市出身の阿部健治郎七段ら地元出身のプロの指導を受けている。5人はより高みを目指して盤に向かい、腕を磨いている。

 東北研修会は2021年4月に発足した。現在は本県の他、宮城、福島などの19人が在籍する。本県からは、連盟のプロ棋士養成機関・奨励会に昨年入った黒沼亮人(ゆきと)さん(13)=東根一中1年=も所属していた。指導者として阿部七段の他、天童市のプロ棋士育成教室講師の熊坂学六段、中川大輔八段らも関わる。

 「持ち時間が普段の対局より長く、じっくりと考えて指すことができる。先生との感想戦も楽しい」。5人の一人、三浦寛人さん(13)=山形一中2年=は今年の県最強戦を制し、東北六県大会で本県の大将を務め、成長著しい。プロ志望ではないが、強い相手と戦いたいと参加した。現在B2クラスの山形四中2年荒井有生(ゆうき)さん(13)は昨年6月に入会した。今月16、17日の中学生将棋名人戦で全国3位になり、着実に力を付けており「みんな強くて勉強になる。中盤のミスを減らし、A2クラスに上がりたい」と力を込める。

 米沢一中3年八島仁乃(ひとの)さん(14)は、仙台市出身の加藤結李愛(ゆりあ)女流初段に憧れ、プロを目指している。研修会に加え、月1回、東京都内での研究会にも参加している。「大好きな将棋に一生関わっていきたい」と目を輝かせる。阿部七段は「指導者のプロとも真剣勝負できる場は他にない」と意義を強調する。研修会での対局は公式戦さながら。緊張感ある熱戦が繰り広げられている。

 より多く、さまざまなタイプの指し手と対戦経験を積むため他地域の研修生とリモートでも対局する。阿部七段は「早い段階でこうした環境に身を置くことが、強くなるための近道。東北の子どもたち同士で競い合い、力を付けてほしい」と期待を寄せた。

東北研修会 日本将棋連盟は東北のほか東京、関西、東海、北海道、九州の各地域でも開催。藤井聡太七冠も東海研修会に在籍し、プロの登竜門の一つとされる。入会資格は20歳以下のアマ有段者(女流棋士志望者は25歳以下)で、Sを頂点にA1~F2の13階級がある。月2回、研修生同士や指導者のプロとの対局成績により昇級する。15歳以下でA2に上がれば、連盟の奨励会に編入できる。

© 株式会社山形新聞社