真岡1歳児死亡、被告の母親を実名公表 宇都宮地検「特定少年」で初 傷害致死罪で起訴

宇都宮地検の入居する総合庁舎

 栃木県真岡市内の自宅で2022年10月、1歳の長男を蹴って転倒させ死亡させたとして、宇都宮地検は26日、傷害致死罪で事件当時19歳だった母親を起訴し、少年法で起訴後の公表が可能な「特定少年」に当たるとして、実名を公表した。宇都宮地検が特定少年を起訴し、実名公表するのは初めて。裁判員裁判で審理される見通し。

 同罪で起訴されたのは、下野市生まれ、住所不定、自称風俗店従業員の女(20)。

 起訴状などは、22年10月13日午前10時ごろ、当時住んでいた真岡市内の自宅の居間で、床に座っていた長男の後頭部から背中付近を足で蹴り、うつぶせに転倒させ、頭部打撲によるびまん性脳損傷を負わせ、同11月6日に入院先の病院で死亡させた、としている。

 捜査関係者によると、母親は「子育てに悩んでいてストレスがたまっていた」などと供述しているという。

 一方、宇都宮区検は26日、22年9月に自宅で長男の頬を平手打ちしたとして、暴行罪で父親の真岡市、配達作業員の男(22)を略式起訴した。宇都宮簡裁は同日、罰金10万円の略式命令を出した。

 県警によると、一家は3人暮らし。傷害致死事件当時は母親が足蹴りした後、長男の具合が悪くなった様子に気付き、両親が病院に連れて行った。診察した医師が「虐待の疑いがある」と県警に通報した。

 搬送時、長男にはあざのような皮膚の変色や頭を打ち付けたような外傷が複数あった。捜査関係者によると、母親は「ほかにも暴行を加えたことが複数回あった」などと供述しているという。

 県警は母親が事件当時、特定少年に当たる19歳だったため、逮捕時は父親とともに匿名で発表していた。

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