大作一堂、志功に迫る 生誕120年で企画展 青森県立美術館で29日から

古事記に登場する日本武尊以前の神々を描いた「門舞男女神人頌」

 青森市出身の世界的板画家・棟方志功(1903~75年)の生誕120年を記念する過去最大規模の企画展「メイキング・オブ・ムナカタ」(同展青森実行委員会主催)が29日、同市の県立美術館で開幕する。28日はオープニングセレモニーと関係者向けの内覧会が行われ、38年ぶりに青森県で公開される富山・光徳寺所蔵の襖絵(ふすまえ)「華厳松(けごんまつ)」、約60年ぶりの展覧会出品となる高さ3メートルの巨大屏風(びょうぶ)「幾利壽當頌耶蘇(きりすとしょうやそ)十二使徒屏風」(東京・五島美術館蔵)など、めったにお目にかかれない大作に驚嘆の声が上がった。

 同展は、棟方が戦中戦後の疎開先として過ごした富山県の富山県美術館(3月18日~5月21日)を皮切りに、青森県の県立美術館と東京国立近代美術館(10月6日~12月3日)で順次行われる。

 棟方ゆかりの3都県の美術館がタッグを組んだことで、展示は空前絶後のスケールに。中でも青森県は県立美術館の広大なスペースをフル活用し、華厳松や幾利壽當頌耶蘇十二使徒屏風のほか、総長26メートルに及ぶ棟方最大の板画作品「大世界の柵」乾(けん)・坤(こん)2作品(ともに棟方志功記念館蔵)など大作ぞろい。展示数は作品106点、装画本105点、関連資料39点に上る。

 オープニングセレモニーでは、棟方の孫の石井頼子さん(66)が「生誕120年ということで日本中で企画展が開かれているが、本展はその中でも最大で、これまでにない規模。多くの方に見ていただき、マルチアーティストとしての棟方を知る機会になれば」とあいさつ。青森市の西秀記市長は、棟方ゆかりの自治体首長が集う「棟方志功サミット」を会期中の9月17日、県立美術館で開催することを発表した。

 内覧会では、関係者が1時間ほどかけて展示作品をじっくりと鑑賞。一つの部屋に単独で展示された華厳松を見た光徳寺住職の髙坂道人さん(57)は「広い部屋だとすごく映える。普段は見られない裏側も色が鮮やかで、感激した」と興奮気味に話していた。

 同展は9月24日まで。観覧料は一般1800円、高校・大学生1200円、小中学生無料。問い合わせは、県立美術館(電話017-783-3000)へ。

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