青森県沖・日本海南側 洋上風力「促進区域」へ 県内初、今秋にも指定

 青森県沖の日本海南側で計画されている洋上風力発電事業を巡り、国、県、地元自治体や漁協関係者らで構成する法定協議会の第4回会合が28日、つがる市の柏ふるさと交流センターで開かれた。国が事業者に発電を30年間許可する「促進区域」指定の手続きに入ることや、事業者に求める地域振興策などについて合意した。国によると、区域選定に関する有識者会議や公告などを経て、早ければ今秋にも県内初の促進区域に指定される見通し。

 会合では、発電設備などの設置に関する制約を設けた促進区域案の海域を新たに示した。海域に2カ所の底建網等実施海域を設け、設置に関しては漁業者との調整が必要、または設置しないこと-とまとめた。この海域での確保済み系統容量は60万キロワットとした。面積は1万375ヘクタール。

 また、振興策や理念などを集約した意見取りまとめ案も提示。同協議会として、発電事業の実施が漁業操業、船舶航行など海域の先行利用状況に支障を及ぼさないことが見込まれるとして、着床式洋上風力発電に係る促進区域指定に異存はない-と結論づけた。

 事業者に求める漁業影響調査の手法については、施設の着工前、工事中、稼働後で変化を比較できるよう、漁場の位置や漁獲量などを調査するほか、漁業者に対し工事に伴う操業への影響を聞き取ること-などとした。

 今後について、促進区域案の決定、公告や関係省庁の協議を経て、経済産業相と国土交通相によって正式に指定される。その後、事業者を半年間公募し、選定する手続きに進む。現在、8事業者の計画が浮上している。

 日本海南側の海域は、同北側の海域とともに2020年7月に「有望区域」に選定され、南側では同年12月から法定協議会を開始。事業者に求める地域・漁業振興策などについて議論してきた。つがる市の倉光弘昭市長は「案は、漁業者も自治体も事業者と共存共栄することを念頭に置いた内容。将来像もよくまとめられている」と述べた。

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