宮下青森県知事インタビュー 県庁大改革、秋に方向性 物価高、92団体にヒアリング

就任1カ月に当たり東奥日報のインタビューに答える宮下知事

 宮下宗一郎知事は28日、就任1カ月を前に東奥日報のインタビューに応じた。大規模に機構・組織を見直す「県庁大改革」について、来年度から新たな組織体制をスタートさせるため、秋ごろをめどに一定の方向性を出す考えを示した。物価高騰で打撃を受けている県民や事業者への支援策を9月補正予算案に盛り込むため、青森県内92の団体・組織にヒアリングを進めていることも明らかにした。

 主なやりとりは次の通り。

 -組織・機構改革のイメージは。

 「時代にふさわしい組織を目指す。大切なのは組織の名前が変わることではなく、組織が変わって、私たちが県民一人一人や市町村と向き合う気持ちになること。秋に方向性を示し、それに合わせて予算を編成し、来年春から新たな組織で仕事を始めたい」

 -物価高騰対策の検討状況は。

 「現在、各部局で手分けして92の団体・組織にヒアリングをしている。所属する企業などを数えれば、数千という規模になるはずだ。各団体はトップの思いだけでなく、現場の事業者に聞き取った生の声を伝えてほしい。多くの職員がヒアリングに関わり、『聞く』県庁に変わりつつあると思う。聞き取ったニーズを対策に反映させるプロセスを大事にしたい」

 -子ども・子育て施策を立案する「こども未来県民会議」の準備状況は。

 「9月に第1回の会議を開きたい。メンバーは女性を中心に10人程度で、公募を軸に考えている。約50年間、政府も自治体も結果を出せなかった出生率上昇にチャレンジする。これまで男性ばかりの会議で結果が出なかったのだから、全く異なるアプローチが必要。各地でワークショップを行い、その中でヒントを得る形をつくりたい。具体的な施策は来年度予算に盛り込むが、子育て環境の改善で予算を伴わないものは年度内にどんどんやっていく」

 -むつ市長時代には、原子力事業者に時に苦言も述べてきた。知事として事業者とどう向き合うか。

 「県民目線で厳しく向き合うだけ。自分は事業者が得意とする『寝業が効く』タイプの政治家ではない。堂々と歴史性と論理性を説くだけ。事業者の幹部と会う場合には、原則としてオープンな場で会う」

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