「ゲーム障害」相談が4倍に コロナ禍、依存度高まる 20代以下男性が大半 栃木県内22年度

ゲーム障害が疑われる相談件数の推移

 ゲームのやり過ぎで日常生活に影響を来す「ゲーム障害」に関し、2022年度に県精神保健福祉センターに寄せられた相談件数が78件に上ることが30日までに、同センターのまとめで分かった。集計を始めた19年度(19件)の4倍に増加しており、相談の大半は20代以下の男性が占める。新型コロナウイルス禍の外出制限でゲームへの依存度が高まったとの指摘もあり、県は予防や早期発見に向けた活動を強化する考えだ。

 世界保健機関(WHO)は19年、ゲーム障害をギャンブル依存症などと同様の精神疾患に認定した。「ゲームの時間や頻度を自制できない」「日常生活の他のことよりゲームを優先する」「社会生活に著しい障害を引き起こしている」といった状態が1年以上続く場合、該当する疑いがある。

 厚生労働省の推計によると、ネット依存の疑いがある中高生は17年度調査で93万人。5年前の1.8倍に増えており、大半がゲーム障害と考えられている。

 同センターに寄せられた相談は、新型コロナの感染が広がった20年度は前年度の3倍以上となる68件に急増。21年度は46件と減少したものの、22年度は78件と再び増加に転じた。高校生や20代の男性がゲームに依存し、親が相談するケースが多いという。

 相談内容は「ゲームに熱中し昼夜が逆転している」といったものや、課金などの金銭トラブル、ゲームの影響とみられる暴行・暴言などが目立つという。

 一方、県が今年3月に20代以上の男女計千人に実施した意識調査によると、家族がゲームの問題で困った場合、「相談先が分からない」との回答が34.5%で最も高く、「相談しない」も15.8%を占めた。

 県障害福祉課は「ゲーム障害は誰もがなり得る疾患だが、『本人の問題』と認識されることがまだ多い」と指摘。他の依存症に比べると相談件数は少ないが、潜在的な患者はかなりいるとみており、市町や学校、医療機関と連携し周知啓発や支援体制の充実を図る。

 同センター所長の島田達洋(しまだたつひろ)医師は「ゲーム障害は患者の年齢が低い傾向がある。背景として家庭環境や生きづらさなどの問題を抱えたケースもあり、教育機関と精神医療・保健との連携が重要だ」と指摘している。

 【ゲーム障害】世界中で社会問題化しており、世界保健機関(WHO)が2019年5月、新たな依存症として認定した。衝動が抑えられず、日常生活よりゲームを優先し、健康に問題が生じても続ける特徴があり、学業や仕事などに重大な支障を来す症状が一定期間続くと診断される。

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