ゾウと人間の共生手助け 襲撃、食害防止へ養蜂箱フェンス 米田さん(青森市出身)ケニアで計画

ケニアでの取り組みに向け、山梨県内の養蜂家の下で養蜂の知識を学んだ米田さん(右)=2021年(米田さん提供)

 「野生動物と人間が共生できるビジネスを広めたい」-。青森市出身で福岡県在住の会社員米田耕太郎さん(26)が、ケニアで農作物を食い荒らす野生のゾウと地元住民の対立解消につなげようと、ゾウが苦手なミツバチの養蜂箱フェンスを設置するプロジェクトに取り組んでいる。米田さんは「同じような問題は世界中にあり、いろんな人が参考にできるような仕組み作りを目指したい」と意欲を語る。

 子どもの頃に見ていた動物番組の影響で、野生動物やアフリカに強い興味を持っていたという米田さん。信州大学(長野県)在学中に1年間休学し、ケニアなどのアフリカ数カ国でボランティアをしながら、野生動物の保全について学んだ。そこで、現地の住民が畑や住宅地に侵入するゾウの被害に悩まされている現状に直面。住民がゾウに襲われて命を落としたり、農作物が食べられて収入が激減したりするなどの被害が問題になっていたという。

 米田さんは、子どもの頃から大好きな野生動物とアフリカの力になろうと、養蜂箱フェンスの活用を思い立ち、プロジェクトを始動。米田さんによると、ゾウは鼻や口、耳の中の皮膚が薄く、ハチに刺されるのを嫌うため羽音を聞くと逃げ出すという。養蜂箱フェンスは、その習性を利用して海外の非政府組織(NGO)が始めた取り組みで、これまでに十数カ国で導入した。しかし費用が高額で、継続的に管理している例が少ないという。

 プロジェクトでは、ゾウと住民の居住区の境に養蜂箱を並べたフェンスを設置。養蜂箱で育てた蜂蜜を販売し、住民の副収入にすることで継続的なビジネスにつなげる。米田さんは学生時代の知人で東京都在住の赤石旺之(おうじ)さんと協力し、設置に必要な資金をクラウドファンディング(CF)で集め、今秋にもケニアへ渡航する予定だ。

 米田さんは「ビジネスは誰でもまねできるのがいいところ。今回の取り組みが成功したら、同じ問題で悩む他の地域でも広まるかもしれない。自分の志でもある、野生動物と人間の共生に向けて全力で取り組みたい」と力を込める。

 CFは31日までForGoodの専用ページで実施している。

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