兵庫の上場企業、女性役員10%どまり 政府目標「30年までに3割」厳しく 生え抜きわずか1.5%

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 兵庫県内上場企業の全役員に占める女性の比率が10.4%にとどまっていることが31日までに、神戸新聞社の調べで分かった。大半は社外取締役や社外監査役など外部から登用された人材で、社内で育った生え抜きは1.5%だった。女性役員がゼロの企業も25%に上った。政府は東京証券取引所の最上位「プライム市場」の上場企業で2030年までに女性役員比率30%以上を目指しているが、状況は厳しい。(石川 翠)

 今年6月末時点で公表されている22年度の決算期の有価証券報告書や内閣府のデータを基に調べた。

 対象とした県内上場企業は110社で、取締役や監査役、執行役を含む役員は計1122人。女性は117人だった。

 117人のうち100人は社外から招いた人材で、弁護士や公認会計士などが多く、複数の企業を掛け持ちするケースもあった。生え抜きの女性役員は17人で、役職は専務3人、常務2人、取締役9人、監査役3人。社長はいなかった。

 女性役員比率が政府目標の30%を超えた企業は2社あった。最も比率が高いノエビアホールディングス(神戸市中央区)は43%で、役員14人のうち6人がいずれも弁護士の女性。AREホールディングス(同)が33.3%で続き、役員6人のうち2人が女性でいずれも社外取締役だった。

 一方、女性役員がゼロの企業は28社あった。

 県内上場企業の女性役員比率を、東証の市場別にみると、大手企業が集まるプライム市場は14.0%、中堅企業向けのスタンダード市場は6.9%、新興企業向けのグロース市場は8.1%だった。

 また、この5年の推移は、19年5.7%、20年6.3%、21年7.9%、22年9%となっており、緩やかではあるが増加傾向が続いている。

 政府は今年6月、女性活躍の重点施策「女性版骨太の方針」で、プライム上場企業の女性役員を25年をめどに1人以上、30年までに30%以上とする目標を設けた。内閣府によると、22年7月末時点で、全国の上場企業の女性役員比率は9.1%。プライム市場全体では11.4%となっている。

 女性の働き方の問題に詳しい日本総合研究所創発戦略センターの小島明子氏は「企業経営には多様性が必須で、女性役員の増加はその第一歩」と指摘。その上で「現在は社外から起用して女性役員を増やそうとしている段階だが、次は社内出身者からの選任が重要になる」としている。

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