駆除シカ皮×漆塗り文様 青森県発の新工芸品ポーチ、「ジビエクラフト」がCF

ジビエレザーを活用した青森発の新工芸品として制作した「シカ皮スマホポーチ」

 害獣として駆除された野生動物の皮を使った「ジビエレザー」に、津軽塗で培った漆塗りの技法を用いてデザインを施した青森発の工芸品を売り出そうと、雑貨小売業者と津軽塗職人などが7月、共同プロジェクト「青森ジビエクラフト」を立ち上げた。青森県の工芸技術でおしゃれにデザインしたシカ皮ポーチを制作し、クラウドファンディング(CF)で活動資金を募っている。

 プロジェクトには、青森市の雑貨小物業青森ホリック(金子祐子代表)と弘前市の津軽塗職人北畠栄理子さん、革製品の加工成形を手がける東京都の小泉製作所、県産業技術センター弘前工業研究所、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)青森県知財総合支援窓口が参画した。

 同事業では、小泉製作所が縫製したレザーに、シルクスクリーン技術でデザインをプリント。漆は本来、柔らかい下地だとひび割れを生じるが、県産技センターの助言で模様の塗装を細分化することでクリアした。意匠は金子さんのアイデアで、縄文土器に数多く記されている「蕨紋(わらびもん)」をモチーフにし、北畠さんがレザー表面に漆で文様を印刷した。

 ポーチはスマートフォンが入る縦19センチ、横12センチの長方形サイズで肩ひもがついている。緑地に黒、ベージュ地に赤のカバーがついた2種類を用意している。

 北畠さんは「津軽塗で扱う素材と異なり、シカ皮はやり直しが利かず一発勝負のため緊張感をもって作業している」と話す。チームリーダーの金子さんは「活用方法がなく無駄になっていたものを、青森県の伝統工芸技術で価値あるものにアップサイクルし新しい工芸品として周知していきたい」と意気込んでいる。

 CFは専用サイト「キャンプファイヤー」で8月31日まで。商品は今後、「青森ジビエクラフト」のサイトなどで販売する。

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