弘前城(青森県)本丸から縄文土器など出土 特に状態良い31点展示

弘前城本丸から出土した縄文時代晩期後葉のつぼ
食べ物を盛り付ける赤漆塗りの「台付浅鉢」。祭祀(さいし)などに用いたとされる=いずれも弘前城情報館で展示

 弘前城本丸の石垣修理に伴い行われた昨年の遺跡発掘調査で、縄文時代晩期後葉(約2400~2500年前)の土器や石器数千点が本丸から見つかった。このうち保存状態が特に良い31点が4日から当面の間、弘前公園内の「弘前城情報館」で展示される。調査を指導した弘前大学の関根達人教授(考古学)は「城跡から縄文土器が大量に見つかるのは予想外」と驚いている。

 石垣修理が始まった2014年度から土器などが確認されていたが、昨年5~12月の間に本丸東端から数千点が一気に見つかった。

 展示品は原型をほぼとどめており、赤い顔料を混ぜた漆で色付けされた土器など工芸的な魅力がある物もある。本丸の盛り土に覆われて風化が防がれたためか、比較的良い保存状態で出土したという。

 まとまった量の土器などが見つかったことから、同時期には、現在の弘前城辺りに縄文人の集落が形成されていたとみられる。関根教授は「城は岩木川の河岸段丘の端で水の便が良いので、縄文人も住んでいたのだろう」と話した。

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