“200年ぶり”の来航を歓迎 「朝鮮通信使」の復元木造船 対馬・厳原港でセレモニー

対馬市民らの歓迎を受け、セレモニー会場に接岸した復元船=対馬市厳原町

 江戸時代の「朝鮮通信使」が日本渡航に使った船の復元木造船の来航セレモニーが4日、対馬市の厳原港であり、市民は“約200年ぶりの対馬来航”を歓迎した。船は5、6両日に同港一帯である「対馬厳原港まつり」に参加する。
 通信使は朝鮮王朝が江戸幕府に派遣した外交使節。日本では対馬を皮切りに下関、大阪などを通り、各地で文化交流が生まれた。2017年には日韓の通信使関連資料333点が「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録された。
 復元木造船は韓国の国立海洋文化財研究所が18年に建造。全長約34.5メートル、重さ約149トン。対馬来航はこれまで日韓関係の悪化や新型コロナウイルス禍で見送られてきた。建造以来、初来日となった今回は韓国・釜山を今月1日に出発し、対馬北部・比田勝に到着。翌2日に南部の厳原に入っていた。
 船は4日午後4時ごろセレモニー会場に接岸。対馬側は自衛隊員による太鼓演奏や大勢の市民の拍手で歓迎した。比田勝尚喜市長から花束を受けた同研究所の洪淳在(ホンスンジェ)さん(51)は「復元船は日韓関係を結ぶ架け橋だ」と来航の意義を述べた。
 世界記憶遺産登録に尽力したNPO法人・朝鮮通信使縁地連絡協議会の松原一征理事長は「心から来航を待っていた。この船に日韓の若者を乗せて交流してもらうのが夢だ」と喜んだ。
 港まつりではライトアップや乗船体験などを計画しており、船は7日に対馬を出発する。

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