【中国】帝人、河北子会社を譲渡=車向け複合材撤退[車両]

帝人は7日、自動車向け複合成形材料を手がける河北省唐山市の子会社を現地企業に譲渡すると発表した。新型コロナウイルス流行などで事業環境が悪化する中、中国での自動車向け複合材料事業からの撤退を決めた。

譲渡するのは、2015年に設立した子会社の帝人汽車技術(唐山)。資本金は6億2,400万元(約123億円)で、帝人の中国法人が53%、グループ会社の米テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズが47%をそれぞれ出資している。帝人汽車技術の23年3月期の純利益は1億1,300万元の赤字だった。

譲渡契約を8月中に結び、2024年3月をめどに譲渡を実施する。譲渡先は高性能複合材料事業を手がける青島科達時代智能装備で、帝人の中国法人の持ち株を1元、テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズの持ち株を1米ドル(約142円)で譲渡する。唐山子会社の譲渡に伴い、江蘇省常州市にある中国第2工場、遼寧省瀋陽市で建設中の第3工場も譲渡する。

帝人はグローバル展開を拡大するなどして自動車向け複合成形材料事業を拡大してきたが、新型コロナ流行による事業環境の悪化や機械の故障など生産体制を巡るトラブルが起こったことで、事業改善に向けた検討を進めてきた。中国市場では電気自動車(EV)向けに部品などの需要が活発化する一方、同業他社との競争が激化しており、今回撤退を決めた。

帝人によると、24年3月期連結決算で約64億円の株式売却損を特別損失として計上する見込み。

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