暑すぎて「海離れ」 富山県内の海水浴場、人出「休日も平日並み」

猛暑続きで青空が広がっても利用者の少ない海水浴場=富山市の岩瀬浜海水浴場

  ●県外旅行に取られ?コロナ明け期待空振り

 猛暑が続く今夏、富山県内の海水浴場で来場者数が伸び悩んでいる。連日の危険な暑さや「新型コロナウイルス明け」による県外旅行需要の高まりが影響しているとみられ、氷見市の浜茶屋関係者からは「休日も静かで平日並み」との声も漏れる。午前に訪れ、早々に引き揚げる客が目立ち、アフターコロナの盛り上がりを期待していた海水浴場の関係者はさらなる「海離れ」を懸念する。

 「暑いから人は出てこんね。私でも海行かんとこ、と思うよ」。氷見市の島尾海水浴場で、唯一営業する浜茶屋「しきなみ」の村井征子さん(78)は、苦笑いしながら汗を拭った。

 7月15日に営業を始めた同店によると、当初は砂浜もにぎわっていたが、猛暑の始まった同月下旬から人が思うように集まらなくなり、村井さんは「特に今月6日の日曜は平日のようだった」と振り返った。

 砂浜ではテントやパラソルを設ける客が目立ち、「体や飲み物を冷やすためラーメンより氷がよく売れる」と村井さん。書き入れ時の旧盆に向け、暑さが和らぐことを願った。

 富山市の岩瀬浜海水浴場は立山連峰の雄大な景色と白砂青松が楽しめる人気スポット。例年、土日曜は遊泳エリア付近の砂浜が家族連れらで混雑するが、今年は週末でも人の姿がまばらで、寂しい状況が続く。

 唯一営業する浜茶屋「栄楽荘(えいらくそう)」は今夏の売り上げが昨年と比べ3割ほど減少。オーナーの米久保渉さん(43)は「暑すぎて人がこない」と砂浜のごみを拾いながら肩を落とした。

 同店は大量に打ち上げられた流木の撤去に追われ、本格的に営業できたのは例年の半月遅れの7月中旬。夏休みのにぎわいを信じていた米久保さんだったが、期待は裏切られ、今も砂浜の人影はまばらだ。近隣県からの客も少ないという。

 今年は営業終了時間を昨年の午後6時から同11時に変更。夜の海で飲酒やバーベキューが楽しめる新たな試みを始め、米久保さんは「暑さの和らいだ時間帯にも来てほしい」と願った。

 7日の岩瀬浜。堀井泰三さん(69)=富山市=は海から上がり、照り付ける日差しに渋い表情を浮かべた。孫2人が通う小学校では熱中症警戒アラートが出るとプールが開放されず、連日我慢を強いられる2人を海に連れてきた。遊泳エリアではしゃぐ孫とは対照的に、堀井さんは「孫は遊び足りないようだが、昼前に帰る。体が持たん」と疲れ切った表情で話した。

 黒部市の石田浜海水浴場は7月の入り込み客数が荒天の多かった昨年とほぼ同じ約3千人となった。運営団体の担当者は暑さの影響が出ているとし、「お盆に人出が増えるとよいが、一番大事なのは事故がないことだ」と体調管理の徹底を呼び掛けた。

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