地元の味引き継ぐ納豆も…さいたま市役所に「杉の子マート」開店 弁当やパンなど販売 障害者らレジ対応も

オープンした「杉の子マートさいたま市役所店」。来店を呼びかける高橋清子さん(右)=4日午前、さいたま市役所地下1階

 埼玉県さいたま市役所地下1階に、「埼玉福祉事業協会」(同市西区)の運営する店舗「杉の子マートさいたま市役所店」が4日、オープンした。障害者の就労支援を目的に、障害者らが作るパンや弁当などを販売する。

 店舗はコンビニ業態で、同協会の運営する9店舗目。生産品の販売のほか、障害者が職員らとレジに立つ。同協会理事長の高橋清子さんは「障害者の働く場所の創出と自立できる工賃を得ることが目的で、店舗を展開している。福祉施設は閉鎖的になるため、地域の人に利用してもらって、障害のある人との関わりができればと思う」と話した。

 同協会の運営する多機能型事業所「あかしあの森」で製造するパンや菓子、障害者支援施設「ゆずり葉」で製造する弁当、地元納豆店の味を引き継ぐ納豆などを販売。調理師やパン職人が障害者と一緒に、「無添加で体に優しい材料で作っている」と高橋さん。他の福祉施設で作られたせんべいなども販売する。

 同所にあった別のコンビニ店が今年6月に撤退し、市が公募していた。前店舗は一日600~700人来店しており、協会としては既存店の10倍以上の売り上げを見込んでいる。利便性を下げられないとして、たばこの販売やコピー、ファクスなども初めて準備。飲料水や乳製品、文房具は企業の協力を得て仕入れが可能になった。

 4日の開店後、清水勇人市長を含め多くの職員が来店したという。高橋さんは「障害の重い人から軽い人まで、それぞれの個性や、できることを生かしていきたい。できれば障害のある人の生産品にも目を向けてもらえれば幸いです。多くの人に来店してほしい」と呼びかけていた。

 営業時間は市役所開庁日の午前7時半~午後8時(ノー残業デーの水曜日は午後6時まで)。

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