夏の移籍市場に衝撃が走った―。
J1川崎フロンターレは8日、元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミスと契約合意したと発表した。
フランス1部リーグ(リーグアン)で通算340試合出場122得点34アシストを記録した元フランス代表の獲得は、国内サッカーフリークから衆目を集めている。
今回はゴミスの経歴、プレースタイルなどを解説する。
ゴミスの経歴
1985年8月6日にフランス南東部のプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にあるラ・セーヌ=シュル=メールで生を受けたゴミスは、1994年に地元クラブのスポルタン・トゥーロン・ヴァールの下部組織でサッカーを始めた。
当時から南仏の怪物と称されるほど、育成年代では注目されていたというゴミス。その優れたポテンシャルを評価される形で、リーグアンを10度制した名門サンティエンヌの下部組織に鳴り物入りで入団した。
その後順調にトップチーム昇格を果たし、並外れた身体能力と突出した得点能力が国内外で高く評価された。2008年には欧州選手権(EURO)2008年大会に向けたフランス代表に選出され、その後は2013年まで招集され続けて通算12試合3得点を記録した。
2009年には当時フランスで圧倒的な強さを見せていたリヨンに加入して全てのシーズンで二桁得点を記録した。その後はスウォンジー、マルセイユ、ガラタサライ、アル・ヒラル、ガラタサライ復帰と国内外のクラブを転々とし、今夏に川崎へ加入した。
個人成績では2017-18シーズンにはトルコ1部得点王と最優秀選手、2019年にはアジアチャンピオンズリーグ得点王、2020-21シーズンはサウジアラビア1部得点王に輝いた。
元フランス代表はJ史上3人目
ゴミスの契約合意により、これでJリーグ史上3人目となる元フランス代表選手がプレーする見込みとなった。
過去に名古屋グランパスに所属したMFジェラール・パシが初めてJリーグでフランス代表歴(11試合1得点)を持つ選手として、1995年に1シーズンプレー(25試合3得点)した。1996年シーズンにはマルセイユでチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)を勝ち取った元フランス代表(45試合1得点)DFバジール・ボリが浦和レッズに加入し、2シーズンで通算31試合に出場した。
マルセイユでプレーしたボリ
この他にJリーグでフランス人として登録された選手は浦和に所属したボリ、名古屋グランパスに所属したパシ、MFデュリックス、MFアルーと、ガンバ大阪に所属したMFダンブリー、カマタマーレ讃岐に在籍していたMFアンドレアを含めて6人いた。
ゴミスはカマタマーレ讃岐MFアンドレア退団(2015年)以来となる8年ぶり7人目のフランス人選手となる見込みだ。
フランスで猛威を振るったフィジカルモンスター
ゴミスのプレースタイルはペナルティエリアを蹂躙する重戦車のようなストライカーと例えることができる。
身長184センチの肉体と強じんなバネを生かした跳躍力、相手DFを弾き飛ばしながら推進する脚力とフィジカルの強さと優れた身体能力を生かしてゴール前にカオスを作り出す。
ワンタッチストライカーの印象が強いが、足元の技術も優れているため、時折観客を沸かせるポストプレーやトリッキーなアイディアを見せる場面もあった。
技巧派揃いの川崎にとって強さと優れた技術を持つ元フランス代表はフィットする可能性がある。
またお馴染みの四つん這いになってハイハイをするようなゴールパフォーマンスも日本で見られるかもしれない。
移籍報道が出ていたレアンドロ・ダミアンの代わりか?
川崎にはロンドン五輪得点王で2021年シーズンにJ1最優秀選手賞と得点王に輝いたFWレアンドロ・ダミアンが所属している。
ただダミアンは今年4月に出演したブラジルのラジオ番組『Tabelinha』で「僕の契約は今年で終わるけど、(チームが)チャンピオンになってから契約が更新された。最初はここに残ろうと思ったけど、ブラジルに戻ってキャリアを終えようと思っているんだ」と発言していた。
今年5月にはブラジルのメディア『FANATICOS』が「ブラジルサッカーの巨人がレアンドロ・ダミアン獲得に向けて順調」という見出しで報じ、古巣インテルナシオナウがダミアン獲得に向けて事前契約を結ぶ用意があると報じていた。
今季は負傷の影響などもあり、リーグ戦5試合ゼロ得点と苦しいシーズンを過ごしている。国外では去就についての報道が出ているだけに、ダミアンの代わりのために獲得した可能性があるかもしれない。
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ゴミスとの契約合意により攻撃力強化の目処が立った川崎。後半戦の反撃、逆転優勝に向けてゴミスがキーマンとなるのか見届けたい。