みなぎる気合、響く快音 富山商、鳥栖工想定し練習

打撃練習で快音を響かせる富山商の選手=兵庫県西宮市の津門中央公園野球場

  ●きょう初戦

 夏の甲子園大会で9日の初戦を控えた富山商ナインは8日、兵庫県西宮市の津門中央公園野球場で練習し、調整を進めた。鳥栖工(佐賀)の投手を想定した打撃練習に時間を割き、9年ぶりとなる聖地での勝利へ気合をみなぎらせた。

 練習は午前9時ごろに始まり、キャッチボールで体を動かした後、前日に続き、シートノックでバント処理など守備の連携を入念に確認した後、約1時間を打撃練習に充てた。

 マシン打撃では、機械を相手エース古澤蓮(3年)、松延響(1年)の両投手が投げる120キロ台のスライダーに設定。各打者が軌道を確かめながら黙々と打ち込んだ。ナインの多くが快音を響かせた中でも、富山県大会で3番打者を務めた堀山時和選手(3年)はインコースのスライダーを捉えて本塁打を放つなど好調ぶりをうかがわせた。堀山選手は「自分が打つことでチームに流れをつくりたい」と意気込んだ。

 午後には室内練習場に移動して最終調整した。前﨑秀和監督は「試合前日で心と体がようやくマッチしてきた」と手応え十分。鳥栖工の投手をどう攻略するかが勝利への鍵になるとし、「自分たちのすべきことをいつも通りやれるかどうか。気持ちで引かず、楽しみたい」と話した。

 キャッチボールのみで投球せずに調整したエースの上田海翔主将は「投手として楽しみながら思いっ切り投げたい。チームとしては全員で声を掛けながら雰囲気良く戦い、必ず初戦突破する」と力を込めた。

  ●主務・小松さん、裏方でチーム支え

 富山商ナインを裏方として支えているのは主務の小松快斗さん(3年)。今年4月から前﨑監督と選手の間に入り、意見をまとめて練習メニューを提案するなど多岐にわたる活動に尽くし、「チームが勝つためにやれることをしっかりやる」と前を見据える。

 前﨑監督から「主務になってほしい」と頼まれ、三塁手を続けたい思いに区切りを付け、「チームのために選手ではなく裏方として頑張ろう」と心に決めた。

 監督やコーチが伝えた技術を浸透させるため自ら深く理解して声を掛け、タブレットで撮影して打撃フォームの改善点を示すなど選手を懸命にサポートしてきた。「春と夏の富山県大会で優勝し、結果が出たことがやりがいにつながっている」と笑顔を見せる。

 大阪入りしても、シートノックやケース打撃で三塁手やランナーを務め、選手の要望を前﨑監督に伝えて練習メニューを考えるなど献身的に活動を続ける。

 大会ではスコアラーとしてベンチ入りする。「声掛けや戦術的にできることを頑張りたい」。背番号はなくとも、心一つに試合に挑む。

練習でランナー役を務める主務の小松さん

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