原発を巡る状況が日本と酷似するニューヨーク、市民の声はいかに…堀潤が現地をレポート

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。7月24日(月)放送の「New global」のコーナーでは、キャスターの堀潤がアメリカ・ニューヨークで取材した「インディアンポイント原発ルポ」を紹介しました。

◆原発を巡る声…NYでも賛否両論

堀が向かったのは、ニューヨーク中心部から北へ約50km、ハドソン川に隣接している「インディアンポイント原発」。

ここは1960年代中盤から1970年代にかけて建設されましたが、原発内で発生したトリチウムなどの放射性物質が地下水に流れ込み、隣接するハドソン川に流出するなど、さまざまな問題を引き起こしてきました。

そのため、近隣住民からは廃炉を望む声が強く、2017年、当時のクオモ州知事が永久廃炉を決定しました。

しかし、現在ニューヨークでは電力源に化石燃料が増えていると言われ、原発を巡るエネルギー政策はさまざまな議論を呼んでいます。そこで今回、アメリカ・ニューヨークに国連の取材で向かった堀は、その足でインディアンポイント原発へ。そこは現在、姿こそ当時のままですが、原発は稼働していません。

インディアンポイント原発の周辺住民に話を聞いてみると、実にさまざまな意見が。「原発内で何が起こっているかわからないから怖い。解体したら空気が汚染され、大変なことになるかもしれない」という不安の声があれば、「原発停止は大きな間違い。なぜなら原発の電力は安かったから。光熱費は天井知らずで上がっている。電気自動車を導入し、あらゆるものに電力が必要になっている」、「原発は安全だった。街にエネルギーを供給していた。私は原発を稼働させ続けるべきだったと考えている」と廃炉を悔やむ声も。

また、「原子炉を冷却するために使用された水について私たちは今、ジレンマを抱えている。ハドソン川に約60年もの間、トリチウムが含まれた水を流され続けた。彼らはそれを川に戻したがり、多くの人々がそれに反対している。(汚染された水は)原発に保管するしかない」といった意見などがあり、総じて堀は「全く日本と同じ議論」とその印象を述べます。

◆日本とニューヨーク、酷似する状況

原発に対し、政府や電力会社などは安全を強調する一方で、住民からは不安の声が根強くあるものの、暮らしのことを考えると安い電力が必要です。ニューヨーク市民はそうした大きなジレンマを抱えるなか、EUは原子力発電をグリーンエネルギーと認定。しかも、ニューヨークは電源の多くを化石燃料に頼っている状況とあって、堀は「(廃炉を望む声があがっていた頃と)時代は変わり、『なぜ原発を動かさないんだ』という声が非常に大きくなっている」とニューヨークで感じたリアルな思いを語ります。

先日、福島県を訪れ、汚染水問題などの取材を行ったというNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、福島とニューヨークの違いとして「大都市との距離」を挙げ、「いわゆる安全保障の問題もある」と話します。

インディアンポイント原発が廃炉になった背景には「テロの攻撃対象になり得るんじゃないかという懸念も強くあったと思う」と大空さん。「個人の生活、電力の問題もあるかもしれないが、仮にもう一度運転を再開するとなったときに、テロのリスクは残っている。その問題を解決するためには、廃炉しかないという選択しかない気がする」と自身の見解を示します。

ジャーナリストで海洋冒険家の辛坊治郎さんは、日本とニューヨークの状況が酷似していることは認めつつ、「ただ、少し違うのは日本のほうが、圧倒的に緯度が南で、例えば太陽光発電などには条件的に日本のほうが遥かに適している」と主張。

20年間に渡り自宅の屋根に太陽光発電を設置しているという辛坊さんは、「短期的な利害で言えば原発のほうがいいような気がするが、中長期的に見たときに経済合理性で考えたらもう原発ではないと思う。長い目で見たら、今後は(太陽光発電などのエネルギーに)シフトしていく実感がある」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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