全国高校野球選手権大会に7年ぶりの出場を果たした北陸高校は8月11日、初戦となる慶応高校(神奈川)との2回戦を迎える。勝利を目指し熱い思いを抱くのはベンチ入りがかなわなかった野球部員も同じ。ベンチ外の3年生が中心となり、相手チームを分析する「データ班」を結成しチームを後押しする。
データ班は「チーム一丸」を願う村田大誠部長の思いから昨夏に結成された。試合映像を見返し、相手投手の直球と変化球の割合を抽出したり、相手打撃陣のスイングを1本の動画にまとめ苦手なゾーンを見つけ出したりし、チームで共有した。昨夏の福井大会準優勝へと導いた先輩たちの活躍を見てきた今年の3年生も、データ班を立ち上げた。
⇒相手チームの印象、理想の試合展開は…北陸、慶応両高校の監督インタビュー
今夏の福井大会。データ班の宮本健太郎さんは映像を分析し「ストレートに見えた相手の130キロ台後半の球がカットボールとスライダーだと分かった」という。チームは低めの見極めを徹底し、逆転勝ちにつなげた。別の試合では相手投手の速球がシュート気味だと割り出し、前日の打撃練習で対策を施し勝利をもたらした。林孝臣監督は「生徒の分析のおかげで戦術もしっかり組める」と手腕を評価する。
甲子園初戦の相手が決まるとすぐ、データ班は宿舎で分析に取りかかった。慶応は長打力が武器。この打線をいかに封じるか策を練っている。分析には笹井多輝主将や試合で記録員を務める室田淳成さんも加わっており、チーム全体のデータ共有に一役買っている。
⇒夏の甲子園2023出場校一覧と各地方大会の決勝戦の結果
メンバーにはベンチ入りできなかった悔しさはある。それでも掛橋孝太さんは「試合に出る出ないに関係なく、全員でやってきたからここまで来られた。今回も信頼度の高いデータを用意したい」。北陸の甲子園での勝ち星は、8強入りした1992年第74回大会の3回戦が最後。チーム一丸で31年ぶりの勝利を目指す。