コロナ5類 流行の実態知る目安に 「報告数×50」で感染者数の推計可能 長崎県公表のデータ分析 

 「新型コロナ(ウイルス感染症)が5類になって流行の実態が分からない。対策の参考にするためにも感染者がどのくらいなのかを知りたい」。7月下旬、長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」に80代の男性読者から連絡があった。同じような問い合わせは5類移行後、複数の人から寄せられている。取材班は公開されているデータを分析。県が毎週公表している「定点当たりの報告数」を50倍すると、1日当たりの感染者に近い数字になることが分かった。
 例えば県が3日に公表した7月24~30日の報告数は30.29人。つまり24日の週は1日当たりの感染者が1500人前後と推計できる。県感染症対策室の担当者はこの算出方法について「目安にはなると思う」とした上で、「各保健所ごとに公表している報告数や他県の報告数には当てはまらないので注意してほしい」と話した。
 新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に合わせ、県は5類移行前の昨年11月21日~5月7日の24週分について、「過去の感染者数を定点医療機関あたりの報告数に換算した値」としてホームページに公表している。長崎新聞社はこの値が、現在の流行状況の参考になることに着目した。
 例えば昨年12月12日から1週間の感染者数(実数)は約1万500人で1日当たり約1500人になる。これを県が報告数に換算した値(この週は31.13人)で割ると「48」(以降、小数点以下を四捨五入)。この方法で全24週分の値を求めたところ、平均値は「49」。22週は「40~60」に収まり、「66」と「39」の週もあった。この結果から報告数を50倍すると1日の感染者数に近い数値になり、ほぼ40~60倍の範囲に収まると推計される。
 インフルエンザの場合、報告数10で「注意報」、30で「警報」という基準があるが、新型コロナにはない。同対策室によると、全国知事会を通じて同じような基準を設けられないか国に要望しているが、現時点では示されていないという。

◎ズーム・定点当たりの報告数

 対象となる感染症について、定点医療機関から報告された感染者数を定点数で割った値。新型コロナウイルス感染症は5月8日に法律上の「5類」に移行。全数把握から定点把握に変わった。県内では70の定点医療機関が毎週、県に感染者数を報告。県は総数を70で割った数値を定点当たりの報告数として公表している。

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