【ミャンマー】マレーが鉱山売却で人権無視、豪政府が認定[資源]

オーストラリア企業マレー・リソーシズ(旧ミャンマー・メタルズ)によるミャンマーの鉱山権益の地場企業への売却を巡り、オーストラリア政府はミャンマー国軍の資金源が増えるなど人権への影響を配慮していないとする市民団体の批判を認める判断を下した。

マレーは、ミャンマー北東部シャン州の北部にあるボードウィン鉱山の51%の権益を保有していたが、2021年8月、これを合弁相手の地場ウィン・ミン・モー・インダストリーズ(WMM)に売却する方針を表明した。

これに対して、鉱物資源開発に関わる採取産業への提言を行う国際的な市民組織ネットワーク「パブリッシュ・ホワット・ユー・ペイ」(PWYP)は、マレーのWMMへの権益売却が、ミャンマー国軍の資金源を増やし、軍を正当化することにつながると批判。オーストラリア財務省が所管する、責任ある企業行動に関する国内連絡窓口(AusNCP)に訴状を申請していた。

PWYPからの訴えに対しAusNCPは先ごろ公表した最終陳述書で、マレーはWMMがミャンマー国軍への資金提供の疑いで米国から制裁を受けていることに言及。同社への事業売却が、企業が責任ある行動を自主的にとるよう勧告する「経済協力開発機構(OECD)行動指針」に反していると指摘した。

その上で、AusNCPはマレーに対し、新たに人権政策などを策定、実行するよう提案した。12カ月後にAusNCPが追跡確認するという。

AusNCPは、OECD行動指針にある、企業の社会的責任(CSR)の普及や問題解決を支援する機関。同行動指針に法的な拘束力はなく、企業の自主的な行動を求めている。

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