長崎伝統の「精霊流し」 県内各地で思い込め にぎやかに

にぎやかに、しめやかに故人の霊を西方浄土へ送り出した精霊流し=長崎市江戸町

 初盆を迎えた故人の霊を西方浄土へ船で送り出す伝統行事「精霊流し」が15日、長崎県内各地であった。新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後、初めての開催。長崎市内ではマスクを外している人も多く、夕日が故人をしのぶ人々の表情を映しだしていた。
 県警によると、県内で2メートル以上の精霊船は714隻(14日時点)で、前年の678隻を上回った。
 寂しさとにぎやかさが混在した長崎の盆の風物詩。同市内では夕方から、悪霊を払うとされる爆竹やかねの音が鳴り響き、家族や友人らが船を引き、故人に思いをはせた。
 神奈川県鎌倉市の前田結理さん(31)は墓参りで長崎市を訪れ、15年ぶりに精霊流しを見た。「長崎らしいお盆。精霊船に故人への思いがこもっていると感じた」と話した。


© 株式会社長崎新聞社