CHINESE FOOTBALL、4年ぶりの来日ツアー『CHINESE FOOTBALL Japan Tour 2023』初日@下北沢SHELTERにて、by the end of summer、DYGLと完売&大歓声の幕開け!

中国武漢出身のエモロックバンド、CHINESE FOOTBALLの来日ツアー『CHINESE FOOTBALL Japan Tour 2023』初日公演が、7月15日(土)下北沢SHELTERにて行われた。

2016年の初来日から4度目となる今回のツアーは、昨年末にリリースされた2ndフルアルバム『Win&Lose』を引っさげ、東京、北海道、京都など計6ヶ所、7公演、各地対バン形式で行われた。ミツメ、tricot、KOTORIなど豪華共演者が控える中、初日のこの日は、チャイフトVo&Gt.徐波が運営する中国のレーベルからEPをリリースし、4回の来日ツアーに全て参加、中国ツアーにも招かれるなど親交の深い京都のメロディックエモバンド、by the end of summer、昨年末に初のセルフプロデュースアルバム『Thirst』をリリースし、日本、USツアーを終え、フジロックなどフェスへの出演も果たしたDYGLが出演。

チケット発売開始後、早々にSOLD OUTしただけあり、場内は超満員だった。

開演時間を少し過ぎて観客の入場がやっと完了すると、すぐにby the end of summerの演奏がスタート(関係者の入場はスタートに間に合わず、階段で漏れ聴こえる演奏に耳を傾ける)。2曲目、「Phony」の途中でやっと中へ。ぎゅうぎゅうの場内で身動きが取れず、正直メンバーの姿を見るのも難しい状態だが、エモーショナルなボーカルと演奏が心地よい。この日は、Dr.小西が急遽出演出来なくなり、ANORAK!(7/19、20公演に出演)のKotaroがサポートで参加するとの事前アナウンスがあったが、堂々とした演奏で違和感など全く感じさせない。

ジャキジャキしたギターで爽快に疾走する「Even Now」、痛みを振り切って駆け抜けていくようなサウンドでシャウトして歌うボーカルが切ない「Battery」など、緩急のあるストーリー展開と青臭さのあるサウンド、パンキッシュなボーカルが観客の感情を昂ぶらせる。

Gt.宮崎がMCで「チャイフトツアー、ありがとう。5年前の中国のチャイフトツアー(by the end of summerも参加)に行った人いますか?」と聞くと「行きました!」と声が上がり、「マジで? ありがとう」と驚きの表情を見せた。「DYGLも楽しみにしていました」と、ラストの「Buzz Lightyear 」へ。イントロで歓声が上がる。複雑な展開とメロディックなボーカルで観客を高揚させ、一番手ながら大歓声が沸き起こった。

続いてDYGL。コロナが明け、活発に活動を展開する彼らの今のモードを象徴するような「Stereo Song」、「Phosphorescent / Never Wait」の軽快な2曲でスタート。90年代オルタナ、ポップパンクなサウンドにテンションが上がる。

Vo&Gt.秋山がぎゅうぎゅうなフロアを見て「大丈夫ですか? いい感じにうごめいていい場所を見つけてください」と呼びかける。「実は今日ギターを忘れて、バイサマの宮崎くんの素敵なギターを借りました。あとで酒奢ります」と、まさかのエピソードを披露。「アルバムのリリースツアーを終えて自由がきくから昔の曲をやってみたいと思います」と、「Take It Away」、「Let It Sway」のダンサブルなガレージロックで今度はUKなムードに。フェスに来たような解放感を感じるこの流れがとてもいい。

赤い照明の中クールに攻めて立てる「Dazzling」で一気に会場が沸く。「今日は中国の方も多いんですか?」と秋山が呼びかけると、あちこちから手が上がり、「留学生です!」との声や中国語が飛び交う中、突如秋山への中国語講座が始まり、「ここ下北沢ですよね?」と確認する場面も。

新曲「Oxidize」、「Waves」のドリーミーな流れから、ラスト「All I Want」では、秋山のパンキッシュなボーカルに引っ張られるように演奏の熱量もどんどん上がっていき、大歓声の中ステージを去るメンバーへ「ワンモアソング!」と声が上がった。

そして、いよいよ大トリ、CHINESE FOOTBALLの登場。「Game Start」の美しいアルペジオのイントロで徐波が歌いだすと、大歓声と共に中国語の大合唱となり、1曲目から早くもクライマックスのように昂ぶる場内。「こんばんは。CHINESE FOOTBALLです。中国から来ました。今日はちょっと恥ずかしい。最後まで楽しんでください」と、日本での生活経験のある徐波が流暢な日本語で話す。

小刻みなリズムと温かい空気感が心地いい「家犬日記」、緩急のある展開で疾走する「Awaking Daydream」と、しっかりとした演奏力を基盤に、彼らの曲が持つポップさ、ストーリー性の高さが際立つ。「今日は日本語の練習。中国に帰ったら日本語は全部忘れてしまったけど、ツアーの時に練習出来る」と、徐波がまた流暢な日本語で話し、笑いが起こる。「by the end of summer、DYGLに感謝します。中国でレコードショップを運営しているんだけど、DYGLは中国でも大人気」というMCから「電動少女」のイントロが始まると、「タラッタッタッタラ~♪」の大合唱。徐波の日本語のMCのお陰もあり、日本人の私達も、たくさんの中国人留学生のファンの人達も、おそらくメンバーも、誰もアウェー感を感じることのない空間がとても居心地がいい。

新作『Win&Lose』から爽快なシティポップ感のある「夏日限定彼女」、美しく切ない「四月物語」、「世界は二分されていく」では再び大合唱となり、エモーショナルな盛り上がりを見せる。「オールドソング」と除波が言い、「The Last Emo Boy on Earth」、「Flying Fish」など1stアルバムのシリアスな曲が続く。「来てくれてありがとうございます。次の曲はウソの最後の曲です」と、本編ラストの「Good Bye」。静かな夜空を思わせるロマンティックな世界観からエモーショナルな盛り上がりでクライマックスを迎える。

演奏が終わると、すぐさま「アンコール!」の声が上がる。「CHINESE FOOTBALLのアンコールは世界で一番早い」と徐波が言い、そのままアンコールへ突入。「漂流人間」の終盤、「ラーラララーラララ~♪」の大合唱から、徐波がギターを弾きながらフロアへ降り、彼を真ん中に観客が取り囲んで歌ったり、スマホを向けたりと、大盛り上がりでライブが終了した。

ようやくコロナが明けて4年ぶりの来日ツアーは、大盛況でのスタートとなった。新作『Win&Lose』に漂う哀愁感はライブではほぼ感じることなく、久々の来日をメンバーも観客も心から楽しんでいるようだった。個人的に、『Win&Lose』収録の「人間失格」のムーディーな曲の途中に入るモダンな感じがライブでどう再現されるんだろうと楽しみにしていたのだが、残念ながらこの日は聴くことが出来なかった。しかし、日本、中国、UK、US感を一気に感じられ、居心地のいいフェスのような空間に終始ワクワクさせられたいい組み合わせを観れて大満足だった。(Text:小野妙子 / Photo:mika miyamoto:Instagramアカウント:@mikamiyamoto101)

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