生理前になると、心やからだの不調を感じるという方は少なくありません。
実はこの不調、うまく付き合っていくことで軽減されるというのはご存知でしょうか。それには、ちょっとしたコツがあります。
今回お伝えするテーマは「PMS」。生理前の不調にお悩みの方は、ぜひご覧ください。
PMSとは?
PMSとは、生理前の、精神的あるいは身体的不調をさします。この不調は、生理開始とともに軽くなったり消失していったりするのが特徴です。
多くの女性が経験するPMSですが、実はその原因ははっきりとわかっていません。さまざまな説があるようですが、そのひとつに女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の変動があります。
エストロゲンは月経開始後に分泌が多くなり、プロゲステロンは排卵後に訪れる生理前の「黄体期」に分泌されます。このプロゲステロンが、からだの中でさまざまな現象を引き起こし、心とからだの不調の原因となると考えられています。
PMSの原因や症状には個人差がある
PMSに影響する女性ホルモンの変動は、年齢や出産経験の有無などに左右されます。
さらに、女性ホルモンだけがPMSに影響しているわけではないとも考えられており、PMSの原因や症状には個人差があります。
具体的には、その人の体質や気質、体調、ストレス、生活スタイルなども関係しています。
PMSの症状には、次のようなものが考えられます。
心の不調
- 情緒不安定
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
- 食欲不振、過食
からだの不調
- 腹痛、頭痛、腰痛
- むくみ
- めまい
- のぼせ
- 倦怠感
- おなかの張り
- 乳房の張り
このように、症状の種類をあげたらキリがありませんが、症状の強さにも個人差があります。PMSがほとんど気にならない人もいれば、PMSがつらくて仕事に行けなくなってしまう人もいるのです。
とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)の場合もあります。
PMSと上手に付き合うコツ
PMSの症状を軽減するためには、PMSとうまく付き合っていくことが大切です。
それでは、おすすめの方法をご紹介しましょう。
1.生理周期を把握する
そもそも、自分の不調の原因がPMSだと気づいていない人もいます。自身の生理周期を把握することで、不調の原因がPMSによるものだと自覚できると安心感につながります。
また、生理周期だけでなく、PMSの症状が「いつ」「どのように」「どのくらいの強さで」起こるかを記録しておくのもいいでしょう。自分の不調のパターンを知るだけで、スケジュールの調整や心構え、対処などが可能になり、症状の緩和も期待できます。
2.リラックスや休息を心がける
PMSはストレスによって悪化するため、PMSの期間はとくに、気分転換やリラックスする時間、休息する時間を意識してつくりましょう。
自分の心身が心地よいと感じるようなセルフケアもみつけてみてください。
激しい運動や無理な活動は避け、映画鑑賞、音楽鑑賞、アロマテラピー、半身浴などを楽しみながら、ゆったりと過ごすのがおすすめです。夜更かしはせず、睡眠も十分とりましょう。
3.食事や飲み物を変えてみる
食事は3食きちんと食べ、バランスのいい食生活を心がけましょう。なるべく塩分や刺激物、糖分の多いものは摂りすぎないようにしましょう。
PMS緩和におすすめの栄養素は、次の例を参考にしてください。
- PMSのからだの不調を整える:ビタミンB群(豚肉、レバーなど)
- PMSの心の不調を整える:カルシウム、マグネシウム(乳製品、海藻類など)
- 女性ホルモンをサポートする:イソフラボン(大豆製品など)
また、アルコールやカフェイン、冷たい飲み物でもPMSの症状が悪化します。お酒やコーヒー、冷えたジュースなどは避け、白湯やノンカフェインのハーブティーなどを選ぶようにしましょう。からだの内側から温まるだけでなくリラックス効果も望めるため、不調の軽減が期待できます。
PMSの症状緩和には漢方もおすすめ
PMSの症状が強く、症状を緩和したいという人には漢方薬もおすすめです。
PMSの原因は、ホルモンバランスの乱れやストレス、過労、血流不足などと考えられています。
PMSに対しては、
- ホルモンバランスの乱れを改善する
- ストレスで乱れた自律神経を整える
- 消化・吸収機能を改善して栄養を全身に届け、心とからだを元気にする
- 血流をよくして自律神経の乱れや痛み、筋肉の緊張を改善する
- イライラを鎮める
- 気分の落ち込みを改善する
などの生薬を含む漢方薬を選び、根本改善を目指します。
漢方薬で心とからだのバランスを整えることで、PMSの症状だけでなく、月経痛や月経不順など、さまざまな不調の根本改善に働きかけます。
<PMSの症状緩和におすすめの漢方薬>
・加味逍遥散(かみしょうようさん):体力が中程度以下で、疲れやすく肩がこる方に
イライラ、気分の落ち込みなど、女性ホルモンの変動によって起こりやすい精神不安の症状やのぼせ、めまいに有効です。
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう):体力が中等度以上で、のぼせて便秘がちな方に
生理に伴う女性特有の不調によく使われます。生理不順や生理時の精神不安、イライラ、更年期障害、便秘にも効果があります。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):体力虚弱で疲れやすく、下半身の冷え、貧血傾向でむくみ、めまい、頭痛、肩こりのある方に
「血(栄養)」の不足を補い、血液の巡りをよくし、からだを温めることで、PMSに多い血行障害の改善を目指します。
ご紹介した漢方薬は、ほんの一部です。このほかにもPMSに使われる漢方薬にはたくさんの種類があり、その人に合わせて選ばれるものは異なります。
どの漢方薬が自分にぴったり合っているか知るために、漢方薬の専門家にアドバイスをしてもらいましょう。最近では、スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような、オンライン個別相談も話題です。
あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービスです。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。
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PMSは我慢しない
PMSは、排卵のある女性であれば、誰にでも起こりうる症状です。
とくに症状の強い方にとっては、日常生活まで影響が及ぶこともあり無視できない問題です。
今回ご紹介した方法は、どれも簡単なものばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。
ただし、なかなか軽減しない場合や、症状が重すぎると感じる方は迷わず婦人科に相談しましょう。
■この記事を書いた人
あんしん漢方薬剤師:竹田由子(たけだゆうこ)
43、47歳で出産した2児のママ薬剤師。共立薬科大学(現 慶応大学)卒、臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に従事し、医薬品に関する情報に精通。元漢方・生薬認定薬剤師。
漢方を自身の月経痛や妊活にも活用してきた経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
(mimot.(ミモット)/ あんしん漢方)