【ミャンマー】北部の翡翠鉱山地滑り、避難民ら死者30人超[資源]

ミャンマー北部カチン州パカンの翡翠(ひすい)鉱山で13日に発生した地滑り事故で、これまでに死者が30人以上に上った。パカンは世界最大の翡翠の産地で、生きるために危険な採掘に従事する人が後を絶たない。被害者の多くは紛争を逃れた避難民という。

欧州委員会人道支援・市民保護総局(ECHO)が現地メディアの情報を基にまとめたところ、約40人が地滑りに巻き込まれ、このうち30人以上が遺体で見つかった。豪雨が続き、救助、確認作業が困難になっている。

米系メディアのラジオ・フリー・アジア(RFA)は16日、被害者の多くは国軍と民主派の紛争が続く北西部ザガイン地域などからの国内避難民だと報じた。

ザガインでは2021年2月の軍事クーデター後から避難生活を送る人が80万人を超えたとされる。生活の糧を求める人にとって翡翠鉱山は魅力で、以前から採掘に従事する人が多い。

翡翠はカチン州の少数民族武装勢力カチン独立軍(KIA)の大きな資金源の一つだ。アウンサンスーチー氏が率いた国民民主連盟(NLD)政権下の20年末にはパカンでの採掘権の90%が失効したが、KIAに「税金」を渡すことで採掘できるようになっているという。

パカンの翡翠鉱山では20年7月にも、約200人が死亡する地滑り事故が発生した。国際労働機関(ILO)は、鉱山では翡翠のくずの採掘が危険を伴い、児童労働も横行していると指摘している。

採掘された翡翠の多くは、陸路国境を越えて密輸される。主要な仕向け地は、翡翠を珍重する中国で売られる。非正規な取引では賄賂が横行しているとされる。

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