佐賀県国際交流協会理事長の黒岩春地さん(67)が、中南米カリブ諸国のセントルシアで立ち上げに携わった視覚障害者向けの指圧のプログラムで、初めての卒業生が誕生した。黒岩さんは帰国後も募金活動を続けるなどプログラムに関わり続け、佐賀県で理解と協力を呼びかけてきた。新型コロナウイルス禍を乗り越え、現地で「SHIATSU」が着実に普及していることを喜ぶ。
黒岩さんは2016年から2年間、国際協力機構(JICA)のシニア海外ボランティアで同国に派遣され、視覚障害者の支援を担った。就労や自立につなげようと日本の指圧療法に着目し、技術習得のプログラムを考案した。関係機関に協力を要請するなど奔走し、黒岩さんが帰国した後も取り組みは引き継がれた。
新型コロナウイルスの影響を受けたものの、昨年8月から首都カストリーズの同国視覚障害者協会でプログラムが本格的に始まった。中米のニカラグアで行われている指圧のカリキュラムを取り入れて今年7月まで1年間行われ、1期生の3人が受講を終えた。
卒業式には黒岩さんも出席し、「卒業の一歩はカリブ諸国にとって大きな一歩になる。皆さんの頑張りをたくさんの日本人が応援していることも覚えていてください」とスピーチした。また、現地のノートを販売して集まった支援金2千ドルを贈った。
外国人観光客に指圧のサービスを提供するなど収益化を目指す。9月からは2期生6人が受講する。黒岩さんは「将来は寄宿舎を備えて他の国を含むカリブ諸国の目の不自由な人たちが学ぶ拠点になり、母国に帰って指圧を広げていくようになるのが夢」と語る。(山本礼史)