身近なモチーフ 自然体で 中村誠一さん(神埼市)還暦迎え具象画展

初めて具象画の個展を開いている神埼市の中村誠一さん=佐賀市のギャラリーNOMA

 神埼市千代田町の中村誠一さん(60)が、佐賀市八戸の旧枝梅酒造内にあるギャラリーNOMAで個展を開いている。透明水彩やアクリル絵の具で細密に描いた風景画や人物画など具象画26点を、還暦からの「再スタート」の思いで展示している。20日まで。

 洋画家の故杉本好守さんに師事し、佐賀大特設美術科(当時)を卒業した。中学で美術を教えながら抽象画で佐賀県展の二席など入賞を重ね、2度の個展を開いた。3年前に軽度の脳梗塞を発症、2年前にマムシにかまれて入院したのを機に、自然体で身近なものを描く具象画に目覚めたという。

 「薔薇」はブロック塀に1輪だけ咲くバラに心を動かされた。「出港」は釣りで出合った朝焼けの空を再現している。「クマゼミ」はセミの質感を子細に観察して緻密に描いた。

 中村さんは「病気を経て、今は生まれ変わった“ニュー中村”という気持ち。小品で挑戦した技法を、今後どう発展させていくか模索していきたい」と話す。(花木芙美)

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